【八重瀬】第29回全日本高校・大学生書道展で、向陽高校2年の仲本紗彩さん(16)が大賞に輝いた。同展には全国から8784点の出品があり大賞に選ばれたのは56点。仲本さんにとって全国規模の書道展でもらう初の表彰状で「大賞はさらに意外だった」と喜ぶ。仲本さんの作品は、来年4月から大阪府で開催される大阪・関西万博で展示される。
受賞作は中国の雄大な自然や情景を詠んだ漢詩。縦230センチ、横53センチの用紙に行草体の50字を45分以上かけて書いた。四文字ごとの区切りや過不足ない渇筆、字体の美しさを醸し出す行間など、先達の指導を受け書き込んできた作品だ。
小学生の頃、「字が汚かった」ため、母の勧めで通い始めた茅原書藝會の書道教室。八重瀬町に引っ越した後は麗泉書道教室で研さんを積んできた。「指摘を受けた内容を完璧に直し、表現できることが楽しい」。近頃は時間も枚数も以前の倍以上練習し「最初の1行から手応えを得られる」と実感していた。
指導する下地麗泉さんは、腕を上げてきた仲本さんをたたえつつ「大賞は教室では約10年ぶりの快挙だ」と喜ぶ。
8月には兵庫県であった表彰式に参加した。書道を専門的に学ぶ大学生の作品から「文字に迷いがない」印象を受け、他流派の作品からは書道が持つ新たな可能性を見たという。茅原書藝會の錬成会とは異なる学びを吸収した仲本さんは「広くて深い書道の世界を知り、モチベーションがさらに上がった」と、さらなる伸びしろをうかがわせた。
(嘉陽拓也)