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ギタリスト朴葵姫 バッハの旋律「ピュアに楽しんで」 6月、那覇・新報ホールでリサイタル


ギタリスト朴葵姫 バッハの旋律「ピュアに楽しんで」 6月、那覇・新報ホールでリサイタル 朴葵姫(日本コロムビア提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉手苅 友也

 朴葵姫(パク・キュヒ)ギターリサイタル「BACH(バッハ)」(琉球新報社主催)が6月11日午後7時、那覇市の琉球新報ホールで開催される。公演を前に、朴がオンラインで取材に応じた。オールバッハに挑んだアルバム「BACH」を4月にリリース。アルバムをひっさげてまわる今回のツアーも含め「ギター人生で一番大事なキャリアになるくらいの挑戦」と語る。朴のバッハの解釈やリサイタルへの意気込みなどを語った。 (聞き手・嘉手苅友也)


 「音楽の父」と呼ばれることもあるバッハ。モーツァルト、ベートーベンなど多くの作曲家に影響を与え、いまなお多くの音楽学者に研究される。バッハ音楽の解釈が多く存在する中、朴は「深い感情がコントロールされている音楽」と解釈する。

 楽しい、悲しいなどの単純な感情ではない。例えば、つらいことがあっても受け入れることで楽になったというような複雑な感情を、時間がたち、整理して淡々と語る描写を曲から感じているという。リサイタルでは、感情をコントロールしながら「純粋で真っすぐな音を出し、飾り気のない印象をつくりたい」と話す。

 朴はバッハが難解といわれる理由を「メイン・サブのメロディーと伴奏がはっきりと分かれておらず、それぞれのパートが各自違う旋律の性質を持っていて、その二つ以上の旋律を同時にコントロールしていくこと」と話す。見えていないところにもメロディーが隠れており、研究者によって解釈が異なるポイントだとも説明した。

 リサイタルの選曲は、バッハ「無伴奏バイオリン ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005」や「シャコンヌ」の他、同世代の作曲家スカルラッティの「ソナタK.32.K178.K391」。バッハへの賛歌といわれるバリオス「大聖堂」など、周囲から見たバッハも捉える。

 朴は、リサイタル全体の聴きやすさにも注力し「クライマックスに進む映画のように徐々に感情が高まる」と構成を話す。楽章によっては複雑な部分があることに触れながらも、「頭を抱えながら聞くのではなく、良い音をピュアに楽しむ気持ちで聴いてほしい」と来場を呼びかけた。

 入場料は、前売り4千円(当日千円増し)。全席指定、未就学児入場不可。デパートリウボウ、島ピアノセンター、イープラス、琉球新報中部支社・北部支社で販売。問い合わせは琉球新報社統合広告事業局、電話098(865)5255(平日午前10時~午後5時)。


 パク・キュヒ 1985年韓国生まれ。日本と韓国で育つ。荘村清志、福田進一、A.ピエッリの各氏に師事。東京音楽大学を経て、2014年ウィーン国立音楽大学を首席で卒業。クラシックギター界の主要な国際コンクールで数々のタイトルを獲得し、欧米・アジア圏のギター公演に招かれるなど、国際的に高い評価を得ている。