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芳醇な弦の音色 聴衆魅了 琉球フィルハーモニック・プレミアムクラシックVol.5 アンコール含め7曲


芳醇な弦の音色 聴衆魅了 琉球フィルハーモニック・プレミアムクラシックVol.5 アンコール含め7曲 グリーグの組曲「ホルベアの時代より」を演奏する琉球フィルハーモニックストリングスと客演の首席奏者ら=26日、うるま市民芸術劇場響ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉手苅 友也

 琉球フィルハーモニック主催のプレミアムクラシックコンサートVol.5「生演奏で聴きたいストリングスの名曲」が5月26日、うるま市民芸術劇場響ホールで開催された。県内外で活躍する弦楽器奏者22人が出演し、バロック時代から近現代までの名曲を、アンコール含め7曲演奏した。弦の旋律が多彩に重なり合う芳醇(ほうじゅん)な音色で観客を魅了した。コンサートマスターは高橋和貴。

 幕開けは金城瞳(チェンバロ)を迎え、バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV.1048」を披露。バイオリン、ビオラ、チェロ、通奏低音(コントラバスとチェンバロ)で編成する。9声部が躍動感にあふれる演奏で、複雑に重なり合う美しいハーモニーを生んだ。金城から、チェンバロはグランドピアノの先祖と言われるとの説明もあった。

 2曲目はパッヘルベル「パッヘルベルのカノン」を披露。高橋が「カエルの歌のようにメロディーが足されていく」と説明。3声の旋律が追いかけっこを繰り広げ、気付けば気品のあるハーモニーを奏でているのが面白い。チェンバロの音色により豪華さも増した。

 2部は民俗音楽をテーマに披露し、風土を感じる曲調へと一変した。バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」は、ジプシー(移動型民族)や農民など、地方の人々の音楽を吸収し作曲された曲。雄大さを感じる弦の響きと重厚感から、生活の情景が浮かぶ演奏だった。

 グリーグの組曲「ホルベアの時代より」は、ノルウェー文学の父ともいわれるホルベアの生誕200年を記念して作曲された。舞曲とアリアの5楽章で構成する。バイオリン(高橋和貴)とビオラ(古川原広斉)の激しいソロから全奏者が一斉に奏でる終盤は、軽快ながらもボリュームの厚みがあり、会場から拍手が湧いた。

 チェコの作曲家ドボルザークの「弦楽セレナーデ」は、結婚2年目で政府の奨学金にも合格し、生活が安定した幸福な時期に作曲された曲。全5楽章で異なる、幸福感や哀愁、優しさ、快活さなどの曲調を美しい音色で表現し、会場から盛大な拍手が送られた。

 アンコールは、バーバー「弦楽のためのアダージョ」を披露。しっとりと落ち着いた演奏で締めくくった。高橋が「名曲を詰め込みすぎて、コンサート2回分くらいの量」と話したように、弦楽合奏を堪能できるコンサートだった。

 (嘉手苅友也)