新しい音楽・カルチャーを発信するインターナショナルなフェス「INSPIRATION OKINAWA 2024」が5月26日、沖縄市のミュージックタウン音市場で開かれた。野田隆司館長とライブハウスOutputの上江洲修店長が協力し、両氏が「今の音楽」と捉えるアーティスト8組を選出した。ヒップホップ、パンク、シティーポップなどで、確立した音楽性を持つバンドが観衆の感性を刺激した。
3組目のGANG PARADE(ギャングパレード)から取材した。13人組のアイドルグループは一人一人の歌唱力が高く、ロックシンガーのような歌い方から、かわいらしい声質まで聞かせた。「ROCKを止めるな!!」などを歌い、「推し」のメンバーTシャツを着たファンのオタゲーもあった。
県出身の5人組ヒップホップクルー「SugLawd Familiar(サグラダファミリア)」は、代表曲「Longiness」の歌詞「俺ら発展途上でもかっけえぞ」とあるように、自らのラップスタイルを語る強気な歌詞や、励ます歌詞に勇気をもらえる。ときに出てくる世の中をやゆした歌詞も小気味よい。「Paradice」ではノリのいいビートと節回しに観衆は揺れた。
県出身の3人組バンド「HOME」は懐かしさの中に新しさがある音楽で、クラブミュージックとロックの境界線をなくした、浮遊感と疾走感があった。ギターロックの「Lucy」を歌い終わった後、ギターをステージに投げ置き、投げキッスをして去るなど、キャラクターもあって心をつかまれた。
タイの音楽アワードでベスト・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞したバンコク出身の「H3F」(エイチスリーエフ)は、ジャジーな曲調にソウル、ブルース、ポップスを融合させた音楽。ギター、ドラムなどに管楽器も加えた7人組の、高い演奏技術と集合した音色に観衆から歓声が沸いた。
トリは「水曜日のカンパネラ」。客席からピンライトを浴びながら登場した詩羽(うたは)は、興奮する観衆の間を「ティンカーベル」を歌いながら抜け、ステージに上がった。最後は「エジソン」や「招き猫」を歌い、「自分に自信持って楽しい人生を送って。みんな愛してるよ」と観衆の背中を押す言葉を贈り、幸福感で満たした。
(嘉手苅友也)