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大田康一さん優秀制作部賞 ジャパン・フィルムコミッション 県出身、「宝島」も担当 「光当ててもらい感謝」


大田康一さん優秀制作部賞 ジャパン・フィルムコミッション 県出身、「宝島」も担当 「光当ててもらい感謝」 映画制作の仕事について語る大田康一さん=6月25日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 6月20日に長崎県佐世保市で開かれたジャパン・フィルムコミッション(JFC)の「第10回JFCアウォード」で、フリーランスで映画やドラマの制作を担当している県出身の大田康一さんが優秀制作部賞を受賞した。大田さんは「制作部は裏方の裏方のような存在。光を当ててもらい感謝している」と語った。

 優秀制作部賞は今回新設された賞。大田さんは、沖縄が舞台の映画『ゴールド・ボーイ』(2024年・金子修介監督)や妻夫木聡主演の映画『宝島』(25年公開予定・大友啓史監督)で制作を手がけた。これらの仕事が評価され、沖縄市KOZAフィルムオフィスに推薦され、受賞が決まった。

 大田さんは、1976年生まれ。県内テレビ局での情報番組のアシスタントディレクター(AD)を経て、現在は東京を拠点に県内外でドラマや映画の制作担当を務めている。

 幼少期から映画好きで映画業界に憧れていた大田さん。テレビ局AD時代に、長澤まさみ主演の映画『涙そうそう』の制作を手伝ったことなどをきっかけに、テレビドラマや映画の世界へ。「見る人の心に残る作品に関わりたい」と、制作の仕事を20年近く続けている。

 映画制作の仕事は、ロケ地探しから地元との調整、映画撮影に関わる大勢のスタッフのホテルや弁当、交通の手配や現場管理まで多岐にわたる。撮影地では地元とのトラブルが起きる場合もあり、地域といかに良好な関係が築けるかも重要になる。大田さんはある作品で公園での撮影許可を取るため、周囲の200世帯にあいさつ状を配布したという。

 沖縄市での撮影でも地元との丁寧な対応が評価され受賞につながった。「制作部は地元の方々からも見られている。受賞が襟を正すきっかけになれば」。骨が折れる作業も多い仕事だが「作品を見て反応をもらえることが一番うれしい」と語る。沖縄出身で制作に関わる人材はまだ少ないという。「映画やテレビドラマの業界に携わりたいと思ったらぜひ覚えていてもらえれば」と担い手の広がりにも期待を込めた。

 (田吹遥子)