「スマホ脳」という本を読んだ。作為的なドーパミン放出によって、ネットにハマるメカニズムと恐ろしさが説明されていた。
本作の主人公は、推理が得意なアメリカの女子大学生のスージー。彼女は未解決事件について語る配信を行っているが、視聴者はゼロ。行方不明のインフルエンサーを自力で発見し、彼女は注目を浴びる存在になる。徐々に肥大していく承認欲求により、スージーの行動はエスカレートしていく。
「他人に認められることが全てじゃないよ!」
ネットの魔力にのみ込まれるスージーにそう言って「スマホ脳」をプレゼントしてあげたかった。
現代社会を風刺した映画だが、スージーがネットに夢中になる様子はとても愛嬌(あいきょう)がある。そのため、狂気的な変貌を見せる姿が客観視しにくいところも、うまい構成だ。素朴で毒のないような見た目でも、人の中身は分からないものだ。完全に予想外の展開を見せたラストで私はそう思った。
(スターシアターズ・玉城愛鈴)
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