米が開発を進める新中距離弾道ミサイルとは…


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 米国が開発を進めている新型の中距離弾道ミサイルは、核弾頭装備が可能で、威力は10~50キロトンの範囲で選べ、最低でも広島に投下された原爆(12キロトン)級の威力がある。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)は数百キロメートルの高度に達しながら大陸を横断して標的に到達するまでに一定の時間がかかるため、迎撃も比較的可能であるのに対し、新型の中距離弾道ミサイルは目標に数分で到達できるので迎撃が難しい。

 短時間の対応では、発射を探知すると即、迎撃発射という自動報復にならざるを得ないので、誤認、錯覚、レーダーの不具合など不確かな情報でも迎撃指示を出す可能性が高まる。偶発的戦争の引き金となる危険性がある。

 これまで配備されたPAC3などの迎撃ミサイルと異なり、核弾頭搭載可能な攻撃ミサイルのため安保条約で規定された装備の「重要な変更」に当たる可能性が高い。破壊力が大きい攻撃型のため「敵」から標的にされる恐れも強まる。

 INF廃棄条約破棄に伴い中距離弾道ミサイルの開発・配備は拡大し、そのミサイルを迎撃するためのミサイルも開発・配備されるという軍拡競争が激しくなることが予想されている。