コンビニ24時間営業見直しの波、沖縄にも ローソンで開始 セブン進出で厳しさ増す中での〝英断〟に至ったわけは…


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時短営業を始めたローソン那覇古波蔵三丁目店=2日、那覇市古波蔵

 従業員の採用難を背景にコンビニの時短営業が全国的に広がる中で、コンビニのビジネスモデルである24時間営業見直しの波は沖縄にも及んだ。ローソン沖縄の那覇古波蔵三丁目店が県内コンビニの路面店では初めて24時間営業を見直し、午前0時から同6時の間は店を閉める時短営業を導入した。セブン―イレブンの沖縄進出で人員確保は今まで以上の厳しさがあり、コンビニオーナーは時短営業の導入を前向きに受け止める。ただ、時短が一気に拡大するかについては懐疑的な見方もある。

 県内ではファミリーマートが326店舗(8月末)、ローソンが237店舗(9月末)を展開しており、7月に新規参入したセブンは2日現在で18店舗を開業した。セブンは沖縄進出から5年で250店舗まで拡大する方針を打ち出しており、今後も激しい競争が予想される。

取り分減っても

 県内のコンビニオーナーによると、時短営業導入の際には本部に支払うロイヤルティー(経営指導料)が引き上げられるなど、24時間営業をやめる替わりの契約条件見直しを求められる場合がある。

 しかし、同オーナーは「ロイヤルティーが上がってオーナーの取り分が減少しても、深夜時間帯の人件費が削減されるので問題はない」と語る。深夜に店舗を閉めればその分の売り上げも減少するが、客足がまばらになる時間帯の売り上げと経費を勘案すれば経営に与える影響は限定的という見方だ。

 人手不足で従業員の採用は容易ではない。那覇など市街地ではアジアからの留学生が労働力となっている実態があるが、留学生も少ない本島中北部ではオーナーが深夜や早朝の業務で店舗に入ってサポートする状況が続いている。

 県内で時短営業が始まったというニュースを聞いたコンビニオーナーは「メリットがあるなら、うちの店舗でもすぐに始めたい」と意欲を示した。

競争の中“英断”

 ローソン沖縄で時短営業が始まったことに、県内の小売り関係者は「各社が競争でしのぎを削る沖縄で導入したのは英断と言える」と評価する。全国的な動きとはいえ、24時間営業というコンビニの前提を崩す判断は容易ではなかったと見る。

 同関係者は「コンビニ各社はどこが時短営業の県内1号店になるのか、状況をうかがっていた部分もあったはずだ」と推測する。一方で時短営業の影響は現時点では見えにくく「県内で急激に広がることはないはずだ」と語る。

 帝国データバンク沖縄支店の調査では、県内コンビニの平均日販(2018年度)はファミリーマートとローソンが共に65万円前後で、全国より10万円以上高くなっている。同支店の水城利治支店長は「沖縄は全国的に見ても売り上げがいい地域なので、営業時間を短くする判断を出しにくいはずだ」と分析する。

 今後は県内でセブンの店舗が増加し、ファミマとローソンの平均日販が現状より下がることも考えられる。水城支店長は「時短営業のメリットとデメリットの検証が進み、売り上げが厳しくなる店舗が出始めた場合は、県内でも24時間見直しが広がる可能性はある」と指摘した。
 (平安太一、石井恵理菜)