玉城知事の会食問題で紛糾 沖縄県議会代表質問・一般質問 福祉、教育の論戦は低調


社会
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 県議会9月定例会は3日、代表・一般質問が終了した。一般質問の初日には、玉城デニー知事の目玉政策である「万国津梁会議」の設置を巡り、設置支援業務を受託した事業者と玉城知事が正式な契約を結ぶ前日に会食していたことが島袋大県議(沖縄・自民)の追及により発覚し、その後、与野党の質疑が集中した。玉城知事は追及に対して「私的な会食」「契約について関知していない」とかわしたが、与党や中立会派からも苦言が相次ぐなど守勢に立たされる場面も多く、議論は消化不良で終わった。

 知事と事業者との会食を巡って自民側は契約に至った経緯などを明らかにすべく百条委員会の設置を求めていく方針で、追及の手は緩めない考えだ。ただ、県議会は与党が多数を占めるため、百条委員会が設置される可能性は低い。

 一方、今回の件は与党内からも「知事としての自覚がない」との批判が渦巻いており、知事の求心力にも影響しそうだ。知事は一般質問が終わったことで早期幕引きに期待を寄せるが、収束の兆しが見えたとは言えず、4日から始まる各種常任委員会でも火種となりそうだ。

 玉城県政の最大の柱である普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設を巡っても与野党から質問が相次いだ。とりわけ、新基地建設問題を国民に訴えるために知事肝いりで実施しているトークキャラバンの「成果」を巡って与野党が応酬を繰り広げた。県は「日米地位協定や辺野古新基地建設について広く発信することができた」(池田竹州知事公室長)と成果を強調したが、野党と執行部の主張は最後までかみ合わなかった。

 新基地建設問題や知事の会食を巡る一連の問題について多くの時間が割かれたこともあり、県が検証作業を進めている沖縄振興計画の在り方や医療福祉、教育子育てなど県政の重要課題である分野での論戦は低調となった。
 (吉田健一)