【国頭・東】国頭村と東村にまたがる米軍北部訓練場は2016年12月、全体7513ヘクタールのうち4010ヘクタールが返還されたが、返還された区域では米軍のものとみられる未使用弾などの発見が相次ぎ、少なくとも1850発(5日現在)が見つかっている。発見地は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産の推薦地に含まれる場所もある。世界自然遺産登録に向けた国際自然保護連合(IUCN)の沖縄島北部の現地調査が6日に始まる中、登録への影響も懸念される。
銃弾などが見つかっているのは国頭村の「LZ―FBJ」「LZ―1」「LZ―2」、東村の「LZ―21」の各ヘリパッド跡地。チョウ類研究者の宮城秋乃さんが見つけている。銃弾は直径0・9センチのものと直径1・1センチのものの2種類で機関銃や小銃の弾丸とみられる。照明弾なども見つかっている。
■新品のものも
新品の銃弾など返還後に投棄されたとみられる事例も確認されており、米軍が返還地を今も訓練に使用している可能性もある。
県道から近い国頭村安田の「LZ―1」跡地周辺では今月1日に銃弾13発や野戦食のごみが確認され、ツナなどのレトルト食の容器も捨てられていた。封が切られた袋から腐った臭いを放ち、森の中で古い野戦食の容器も目にしている宮城さんは「古いものは臭いはしない」と説明する。
■9月以降急増
今年9月以降、銃弾や廃棄物発見が急速に増え、見つかった銃弾は1200発以上に上る。世界自然遺産の候補地に含まれる豊かな森で投棄が放置されている現状に、宮城さんは「世界遺産の認定自体が目的化している。動物たちに平和な森を返してあげるべきだ」と指摘する。
見つけた銃弾は名護署が回収を進め「何かの法律に抵触するのであれば適切に対応する」との方針だ。
一方、米軍は沖縄防衛局の照会に対し「空包などが発見された場所で返還後に訓練をした記録はない」と回答。沖縄防衛局は本紙取材に「米側に対し、廃棄物等の管理を徹底していくよう求めていく」としているが、具体的な対策は見えていない。
(塚崎昇平)