保守票が取れる候補?各党の独自候補?「オール沖縄」の人選が難航 衆院2、4区 「寄り合い所帯」弱点露呈


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 次期衆院選に向けた沖縄2区と4区の人選を巡り、「オール沖縄」陣営内の調整が難航している。各党の思惑が複雑に絡み、にわかに混乱の様相を呈してきた。6日には、県議会で各党・各会派会議が開かれたが、一致した方向性は見いだせず、衆院の解散時期に関係なく人選作業を継続していくことを確認するだけにとどまった。「オール沖縄」の枠組みは2014年の知事選で誕生した。複数区で新人候補を擁立する初めての事態で、「寄り合い所帯」と指摘される勢力内調整の難しさが露呈した格好となっている。

 先月28日の各党・各会派会議では、座長である照屋大河社民党県連委員長は1~3区は「現職の意向を確認し協力態勢を取る」。4区には「『オール沖縄』の象徴として4区選考委員会が選定した人物を無所属候補として各党・各会派は支援する」とした政党・会派間協力に関する基本方針案を示した。

 しかし引退を表明した社民党の照屋寛徳氏=沖縄2区=の意向の取り扱いを巡ってこの日の会合では結論は出なかった。とりわけ、2区から独自候補の擁立を視野に入れる会派おきなわは「開かれた候補者選考」(平良昭一県議)を求め、現職の意向に縛られない選考の在り方を提案した。

 一方、当事者の社民県連内でも2区の人選を巡って意見が割れている。5日の執行委員会は3時間半に及んだが、一部幹部が水面下で進めていた後継候補の擁立作業に批判が集中。選考委員会が全会一致で擁立を決めた新垣邦男北中城村長についても党員ではないことから、党内から候補者を選出すべきだとの声も相次いだ。党内では書記長の仲村未央氏を推す勢力と新垣氏を推す勢力に割れており、今後も綱引きは続きそうだ。

 4区でも政党間で意見が対立している。社民や共産など県内で議席を有する政党が「保守票の取れる無所属候補」を擁立すべきだとの意見を出す中、県内での党勢拡大を狙う立憲民主党は党内から候補者を擁立する方針を崩しておらず、候補者選考を巡る動きは不透明感を増している。立民県連会長の有田芳生参院議員は6日、自身のツイッターを更新し「4区だけ『保守系』でなければならない合理的理由はありません。これが立憲民主党県連の見解です。私たちは政党の責任として公認候補を立てる方針です」と書き込み、「オール沖縄」をけん制した。
 
 6日の各党・会派会議で結論が出なかったことを踏まえ、当面の間は選考委員会を中断することを決めた。今後は、資金面や支援体制の枠組みについて各政党会派間で協議していくことを確認した。会合後、大城一馬委員長は本紙に対し「人選はあくまで選考委員会の中でやるべきだ」として、引き続き選考委員会で人選作業を進めることを強調した。 (吉田健一)