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うつ病治療中に卓球と「再会」 半世紀ぶりに全国大会に挑む元国体選手

大会に向けて練習に取り組む稲嶺弘さん=4日、沖縄市知花の沖縄中央病院

 12日に茨城県で開幕する第19回全国障害者スポーツ大会「いきいき茨城ゆめ大会」で、沖縄市の稲嶺弘さん(68)が卓球の精神区分に出場する。卓球の中でも精神区分は今回から新設された部門で、稲嶺さんは初めての沖縄県代表選手だ。高校時代は県大会で優勝し、全国総体や国体にも出場した稲嶺さん。競技からは離れていたが、うつ病を患って通い始めたデイケアで卓球と“再会”。半世紀ぶりに全国の舞台へ挑む。

 コザ高校時代、1学年で78人の部員がいたという大所帯の卓球部で腕を磨いた。2年時に県大会で優勝し、復帰前の沖縄からパスポートを携え本土での全国総体や国体に出場した。卒業後は母校の越来中学校で指導し、監督の立場で国体に参加した経験もあるが競技からは離れていた。

 転機は49歳の頃。うつ病を患い、医師の勧めでデイケアに参加した。治療を続けていた58歳の頃、職員から「卓球をしてみない?」と誘われた。再び競技を始めると「昔のリズムを取り戻してきた。感覚を思い出して、とてもうれしかった」と振り返る稲嶺さん。すぐに県大会で優勝し、他の療養者にも技術を伝えながら共に卓球を楽しんできた。

 現在はデイケアで週3回、クラブチームで週1回の練習をこなす。スマートフォンで撮影したプレー動画を見て、「若い頃より動作が遅くなっている」と言うが、安定したフォームから繰り出すプレーはまだまだ一級品だ。

 今年2月、県精神病院協会療養者卓球大会で2度目の個人優勝を果たすと、後に全国大会で精神区分が新設された。職員を通じて出場を打診され、「うれしかった。病気を患って(20年以上)県外へ旅行もしていなかった」と胸を踊らせる。

 卓球競技で「最年長かもしれないね」と笑う稲嶺さん。「一つでも勝ちたい。相手の動きを予測して、シンプルに一生懸命やりたい」と意気込む。再び全国へ、実力をぶつける。
 (大橋弘基)



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