「危険な弾薬庫造るな」 宮古島の陸自施設着工 市民、早朝から抗議


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資材を搬入するトラックの進入路を巡って、宮古島署員らともみ合いになる市民ら=7日午後、宮古島市城辺

 【宮古島】沖縄県宮古島市城辺の保良鉱山での陸上自衛隊弾薬庫建設を巡り、7日午前、防衛省が工事に着手した。説明会から間を置かない着工を受けて、建設現場の入り口付近には建設工事に反対する市民ら10人が早朝から駆け付け、「違法な工事は許さない」「危険な弾薬庫を造るな」などと抗議の拳を上げた。

 市民らは午前8時前から建設現場の入り口付近で抗議活動を行い、沖縄防衛局職員らに工事の中止を求めて繰り返し呼び掛けた。現場には資材を搬入する車両が2台到着したが、市民らが進入を阻止し、入り口付近で長時間立ち往生した。膠着(こうちゃく)状態が数時間続いた後、午後2時46分、宮古島署の署員らが市民らを移動させ、車両2台が建設現場内に入った。けが人はいなかった。

 建設現場で抗議した「ミサイル・弾薬庫配備反対!住民の会」の砂川盛栄共同代表は「地域住民が畑仕事もしているような場所に、なぜ危険な弾薬庫を造るのか」と表情を曇らせた。

 説明会の開催から間もなく開始された工事を「絶対に許せない」と批判し、「住民にはこの場所でずっと暮らしてきた生きる権利がある。国はそれをないがしろにするのか」と訴えた。

 建設現場に近い集落内を散歩していた70代女性は「どちらかと言えば、もちろん(弾薬庫は)ない方がいい」としつつ「でもここはもう年寄りばかりで、今更私たちに何ができるのかも分からない」と肩を落とした。農作業をしていた70代男性は「もう決まっていたこと。何も言うことはない」とため息をついた。

 早朝から抗議を続けた「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の仲里成繁代表は「戦争につながる施設の建設は絶対に認めない」と強調。3月に完成した市上野野原の駐屯地の存在にも触れ「防衛省は住民の声に耳を貸さない。地域住民、宮古島市民の人権を軽視しているとしか思えない」と怒りをあらわにした。