訓練場跡追加も残る米軍の環境汚染への懸念 世界自然遺産登録へIUCN審査


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 政府が目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島」の世界自然登録に向けた国際自然保護連合(IUCN)の現地視察が12日までの日程で行われている。4地域の世界自然遺産登録に向けた審査は2017年にも行われ、今回で2度目の「挑戦」だ。前回審査ではやんばる地域にある米軍北部訓練場が推薦地やバッファゾーン(緩衝地帯)にも指定されておらず、位置付けが不明瞭だとしてIUCNが18年に「登録延期」を勧告した。そのため環境省は今回の申請で、北部訓練場の一部返還跡地や西表島の河川部を新たに組み込み、拡大した推薦書を提出した。

 前回の勧告でIUCNは推薦地に隣接する米軍北部訓練場について、高い水準の景色や生態系の連続性があるにもかかわらず、地図上は分断されているようにも見えると指摘していた。その上で北部訓練場を推薦地全体の管理計画の中に組み込むことなどを求めていた。

 再推薦に向けて環境省が策定した管理計画は、北部訓練場については日米合同委員会の環境分科委員会で協議し、マングース駆除やノネコ捕獲に米軍と協力して取り組んでいるなどとした。

 一方、北部訓練場の一部返還跡地では、防衛省が浄化作業を終えたとしているものの、今も米軍の廃棄物が多数発見されている。そのため県内の環境団体や専門家などからは浄化が不十分だとの指摘がある。

 また、北部訓練場で行われる米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの低空飛行による熱波や騒音が生態系に影響を与えるなどと指摘され、環境団体などはIUCNに対策を政府に勧告するよう提言している。