小学校に配置されている「体育専科」の教員とは? 小学生の体力向上が課題の沖縄 授業改善楽しく挑戦


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タブレット端末で撮影した動画を児童に見せ、運動のポイントができているか助言する田場英樹教諭=9月13日、浦添市の当山小学校

 14日は「体育の日」。県教育委員会は、小学校で体育専門で教える「体育専科」の教員を配置している。担任がほとんどの教科を教える小学校で、一つの教科を専門的に教える教員は貴重だ。専門的知見から授業改善に取り組み、安全で楽しい授業づくりに力を発揮する。沖縄は全国体力テストで全国平均を下回る種目が多く、子どもたちの体力向上の対策としても期待が高まっている。

 楽しく効率良く

 9月13日、体育専科の教員が配置されている浦添市立当山小学校で跳び箱運動に関する公開授業が開かれた。多くの教員が見守る中、体育館のスピーカーから流れたのは、人気グループ「DA PUMP(ダ・パンプ)」の「U.S.A.」。曲に合わせて3年生の児童が楽しく踊りだした。ダンスにはストレッチ運動もちりばめられており、準備運動をしながら児童のやる気を引き出す仕組みになっていた。

 準備運動後は、ロイター板の上でトントンとジャンプするだけの運動や、マットで前転するだけの運動など、台上前転の要素を六つのパートに分けたサーキット形式のトレーニングを実施。グループに分かれた児童が各パートを入れ替わりながら練習し、効率良く運動の感覚をつかんだ。

 授業を担当したのは体育専科の田場英樹教諭と担任の根間博幸教諭の2人。主に田場教諭が指導しながら、担任の根間教諭がサポートに入る形で授業は進んだ。中心から目が行き届きやすいよう、跳び箱やマットなどの器具は「コ」の字に配置し、けががないよう注意を払った。

 田場教諭は児童の動きをタブレット端末で撮影。その場で動画を児童に見せながらポイントがしっかりできているかを助言した。

 タブレット端末への興味からか、児童も楽しみながら自分の動きを確認。運動が苦手な子も「挑戦してみる」と宣言し、自ら苦手な動きの練習を繰り返していた。

 配置促進

 2018年度に実施された全国体力テストによると、県内の小学5年生は8種目中、全国平均を上回っているのは握力とソフトボール投げの2種目のみ。20メートルシャトルランや50メートル走などその他の6種目は全国平均より低く、8種目の合計点も下回っている。合計点は14年度ごろを境に低下傾向に歯止めが掛かり上昇に転じているものの、全国平均に届いていないのが実情だ。

 運動習慣等に関する調査では、県内の児童は体育の授業以外での1週間の総運動時間が「420分以上」の児童の割合が全国平均より高い半面、「0分」の生徒も高く、運動をする児童としない児童の二極化が顕著だった。

 県教委が授業改善のため体育専科の教員を配置するようなって本年度で4年目。効果は上げているものの配置は県全体で8人と少ない。県教委は児童の体力向上を図るため、体育専科教員の配置促進に取り組む考えだ。
 (稲福政俊)