IUCN、奄美・沖縄の調査終了 世界遺産登録で審査 環境省「背水の陣で臨んでいる」


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 【石垣】「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に向け、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録の可否を勧告する国際自然保護連合(IUCN)の調査員による現地視察の全日程が12日、終了した。環境省や林野庁、沖縄、鹿児島両県の担当者が同日、石垣市内で会見を開き、視察概要などを報告した。

 環境省自然環境計画課の植田明浩課長は「2回目の推薦ということで背水の陣で臨んでいる。丁寧に心を込めて説明した」と強調した。

 調査員は5日から8日間にわたり、候補地の調査を実施した。環境省沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長が、米軍北部訓練場返還地など追加編入地の視察や各地域の生態系の観察などを行ったとした。

 行政機関からは2018年5月のIUCNによる勧告を受けた後の各種取り組みなどを説明したという。一方で「(IUCNの)審査の過程に関わる」として、調査員の発言内容や具体的なやり取りについては回答できないとした。

 調査官と地域住民との意見交換会では、住民から世界遺産登録に向けた活動を強化しているなどの声がある一方、観光客の増加などに懸念の声も上がったとした。調査員の指摘も踏まえて今後、外来種や密猟対策を強化したいとの認識を示した。

 沖縄県環境部の金城賢参事は「実際に目にし、足を踏み入れることで四つの島に広がる生物多様性を感じてもらえたと思う」と手応えを語った。

 鹿児島県環境林務部の大山浩昭次長(奄美世界自然遺産総括監)は「引き続き関係機関などと連携して、遺産登録に向けた取り組みを進めたい」と述べた。