性同一性障害(GID)や性別適合手術(SRS)への理解を深めてもらおうと、医師やSRSを受けた当事者がGID医療の現状や体験を語る講演会(GID沖縄主催)が13日、うるま市の沖縄県立中部病院で開かれた。SRSには保険適用の在り方や術後の療養、周囲の理解などで課題があることが報告された。体験者らは手術の情報を十分に収集し、周囲に相談することの重要性を指摘した。約100人が参加した。
SRSは昨年4月から保険適用が認められた。しかし性ホルモン療法は自費診療となっている。
GID当事者はホルモン療法をしている関係から性器を摘出する手術の場合、混合診療扱いとなり保険適用されず、国内で保険適用の実績は数件にとどまっている。
全国に6病院あり九州・沖縄で唯一、SRS手術が認可された中部病院でもホルモン療法に入る前の乳房切除への保険適用しかない。
保険適用に関して講演した岡山大学病院ジェンダーセンター長の難波祐三郎教授は、保険適用がないことで海外での手術を選択し、結果的に合併症を発症して国内の病院での治療を難しくする事例を紹介しながら、保険適用で安心して国内で手術が受けられる環境整備の重要性を強調した。そのためには「ホルモン療法で薬事法が壁になっている」とし「医師主導で治験を重ねることが今できることだ」と語った。
体験談では4人が登壇。心と体の性の不一致を抱えて生きることで「無口で内向的になった」「否定されている気がした」などと振り返った。
中には自殺を考えたこともあったと語る体験者もいた。手術に踏み切ったことで「精神的に楽になった」と声をそろえながらも、「手術を勧めているわけではない。後悔しないようしっかり調べて考えてほしい」と呼び掛けた。