「大震災がよぎった」 台風慣れした沖縄関係者 福島や宮城で自宅浸水 「水の怖さ感じた」


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 本州の広範囲の地域で猛威を振るった台風19号。被災地の県人からは「東日本大震災の恐怖がよみがえった」「沖縄からの台風対策情報を発信してほしい」などと声が上がった。

 福島県いわき市の上間キミ子さん(69)=読谷村出身=は、同市内の夏井川と新川が氾濫した影響で、同市内にある自宅と娘宅が浸水した。上間さんは12日午後1時ごろ、新川近くの自宅から娘の自宅に避難。しかし、娘の自宅近くの夏井川でも氾濫の危険が出てきたため、同日午後7時すぎに娘の家族4人と共に、いわき市中心部のビルに再度避難したという。

 上間さんは「東日本大震災で味わった恐怖がよみがえった。家は水浸しで住めるような状況ではない」と疲れ切った様子で語った。

 県出身で宮城県石巻市渡波地区に住む嘉陽愛華さん(23)は13日朝、股下まで水に漬かりながら冠水した道を歩き、勤務先へ向かった。「沖縄での台風体験とは全く違い、予想を超える被害。水の怖さを感じた」と声を震わせた。

 長野県では千曲川の堤防の一部が決壊して浸水被害が発生している。上田市保野の伊波敏男さん(76)=うるま市石川出身=は「うちは高台にあるので被害はなかった。水浸しになった地域はリンゴの産地だ。長野市の新幹線車両センターも浸水しており、交通面でも影響が出るだろう」と心配そうに語った。

 栃木県でも各地で河川の堤防決壊が相次ぎ、死者も出た。JR宇都宮駅前で沖縄料理屋「琉月」を営む真栄城洋一さん(44)=那覇市出身=は「店は2階にあって被害はなかったが、近くの田川が氾濫して道が泥まみれになっている」と話した。同県中部に位置するさくら市に住む那覇市出身の大城丈典さん(40)は「近所で大きな被害はなかったが、栃木の人は台風の経験が少ない。沖縄から台風対策の情報をもっと発信してくれるとありがたい」と要望した。