地域の理解で多忙解消 高教組中央集会 教員の働き方改革議論


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詳細なデータを示しつつ教員の多忙さについて解説する藤川伸治氏=12日、名護商工高校

 県高校障害児学校教職員組合(高教組)の第52次教育研究中央集会が12、13日の両日、名護商工高校と名桜大学であった。特別分科会では働き方改革をテーマに講演やパネル討論を開催し、多忙化が解消されない現状を報告。学校だけでなく保護者や地域の理解を得ながら働き方の改革を進めることの重要性を確認した。

 特別分科会では、教育改革2020理事長で連合総合生活開発研究所主任研究員の藤川伸治氏が講演した。藤川氏は教員が医師より労働時間が長いことや、ストレスを抱えた教員は子どもに当たってしまうなど悪影響を与えることなどを、詳細なデータを示しつつ紹介した。

 パネル討論には豊見城高校教頭の比嘉かおる氏、県高校PTA連合会副会長の長山勝美氏、那覇高校養護教諭の喜瀬実名子氏、西原高校教諭の新垣善永氏が登壇した。

 比嘉氏は早く帰れるような職場づくりや教職員の意識改革に取り組んでいること、長山氏はPTAとして事業削減を進めていることなどを報告した。

 喜瀬氏は、部活動の大会に救護員として参加した養護教諭がけがをしたものの、公務とみなされず労災認定されなかった事例を紹介。新垣氏は「仕事の取捨選択をしようと思っても『子どものため』と思うとなかなかできない」と、率直な心境を語った。

 フロアの教員も、奨学金を受けるための推薦資料作成などで教員の多忙化に拍車が掛かっているという窮状を訴えた。

 討論を聞いた藤川氏は、定数増を求める際に、働き方改革の取り組みを示した上で財務省などと交渉することが大事だと助言。また「いろいろな立場の人と話し合うことが大事な一歩だ」と指摘した。