ヤシガニ、実はおしゃべり? 発音の仕組み解明 〝会話〟している可能性大


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会話している可能性が高いことが分かったヤシガニ(沖縄美ら島財団提供)

 【本部】ヤシガニって実はおしゃべり? 沖縄美ら島財団(本部町)と国立研究開発法人水産研究・教育機構(神奈川県)、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(うるま市)は18日、陸生で世界最大の甲殻類・ヤシガニの発音の仕組みを解明したと発表した。ヤシガニが強弱やリズムを積極的に使い分けて発音し、“会話”している可能性が高いことも分かった。研究者らは「ヤシガニのおしゃべりが理解できるよう、今後も研究を進めたい」と意気込んでいる。

 ヤシガニは太平洋の熱帯域から亜熱帯域に生息する陸生最大の甲殻類。絶滅危惧種に指定されている。研究グループは、本部町の海洋博公園や八重山諸島での調査などでヤシガニが「カタカタ」「プツプツプツ」などの音を出すことに着目した。

 標本解剖や発音中のX線動画から、顎の奥にある「顎舟葉(がくしゅうよう)」と呼ばれる器官を上下に振動させ、顎舟葉が収まる空間の壁面にぶつけて音を出していることが分かった。繁殖行動の最中や捕獲した際など、状況によって音の間隔や強弱が違っていた。

 代表研究者の美ら島財団総合研究センター動物研究室の岡慎一郎係長は「ヤシガニは体重の100倍の挟む力があったり、寿命が50年近くあったりとこれまでも面白い生態が分かっている。皆さんにもっと興味を持ってもらうことが保全にもつながると思うので、今後も研究を深めたい」と話した。