沖縄振興計画はどうあるべきか? 沖縄経済シンポジウム詳報(下)


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(左から)東良和氏(沖縄ツーリスト会長)、呉屋守将氏(金秀グループ会長)

 パネルディスカッションでは、これまでの沖縄振興計画への評価や、今後の振興計画はどうあるべきかが話し合われた。

 県建設業協会の会長を務めた金秀グループの呉屋守将会長は「50年近くの間に自立しようという気概は圧倒的に薄くなっている。特に建設業界は国の財政に依存するという、情けない状態だ」と強調した。県が整備を計画する大型MICE施設を巡り、内閣府が事業の採算性などを疑問視して一括交付金の交付を認めていないことを引き合いに「沖縄県自らがデザインし、国は邪魔をせず協力することが大事だ」と話した。他府県並みの稼げる力が身につくまで、全産業を対象に国税を減免することも提案した。

 沖縄ツーリストの東良和会長は、自立経済の実現に向けて「入域観光客数ではなく観光収入を重視するべきだ」と指摘した。全国的な人口減少が進む中で策定される次期振興計画については「子どもや孫の時代には、労働力だけでなく購買力もない日本になる。外貨をどうやって稼ぐかを本気で考えて、どこの国に売るか真剣に考えることが必要だ」と話した。

 琉球大の大城肇名誉教授は、県外にお金が流れ出る「ざる経済」の構造について、県内で消費される物の自給率が低いことが原因だと指摘した。「地域で使う物を地域で作るという『地消地産』の考え方で、お金の回りをよくすることが重要だ」と話した。

 沖縄大と沖縄国際大の特別研究員を務める宮田裕氏は、沖縄開発庁がなくなり内閣府が担当するようになってから、振興予算は官邸が決める「政治案件化」していることを説明した。「基地移設への賛否が査定基準になっている。沖縄振興の基本的な原型が崩れかけている」と危機感をあらわにした。

講演に拍手を送る聴衆

 県建設業協会の会長を務めた金秀グループの呉屋守将会長は「50年近くの間に自立しようという気概は圧倒的に薄くなっている。特に建設業界は国の財政に依存するという、情けない状態だ」と強調した。県が整備を計画する大型MICE施設を巡り、内閣府が事業の採算性などを疑問視して一括交付金の交付を認めていないことを引き合いに「沖縄県自らがデザインし、国は邪魔をせず協力することが大事だ」と話した。他府県並みの稼げる力が身につくまで、全産業を対象に国税を減免することも提案した。

 沖縄ツーリストの東良和会長は、自立経済の実現に向けて「入域観光客数ではなく観光収入を重視するべきだ」と指摘した。全国的な人口減少が進む中で策定される次期振興計画については「子どもや孫の時代には、労働力だけでなく購買力もない日本になる。外貨をどうやって稼ぐかを本気で考えて、どこの国に売るか真剣に考えることが必要だ」と話した。

 琉球大の大城肇名誉教授は、県外にお金が流れ出る「ざる経済」の構造について、県内で消費される物の自給率が低いことが原因だと指摘した。「地域で使う物を地域で作るという『地消地産』の考え方で、お金の回りをよくすることが重要だ」と話した。

 沖縄大と沖縄国際大の特別研究員を務める宮田裕氏は、沖縄開発庁がなくなり内閣府が担当するようになってから、振興予算は官邸が決める「政治案件化」していることを説明した。「基地移設への賛否が査定基準になっている。沖縄振興の基本的な原型が崩れかけている」と危機感をあらわにした。


<登壇者>

▽大城肇氏(琉球大学名誉教授)

▽宮田裕氏(沖縄大学・沖縄国際大学特別研究員)

▽東良和氏(沖縄ツーリスト会長)

▽呉屋守将氏(金秀グループ会長)

▽コーディネーター=島洋子(琉球新報社編集局次長兼報道本部長)