社会
沖縄からSDGs

飢餓根絶へ 何ができる?【SDGsって? 知ろう話そう世界の未来】2


 国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)が定める目標(ゴール)は、二つ目に「飢餓をゼロに」を掲げている。飢餓の撲滅や食糧の確保にとどまらず、強い農業の実践や小規模食料生産者の所得倍増などが目標に盛り込まれている。県内では中心産業の一つであるサトウキビの品種改良が進められ、島しょ地域の実情に合わせた作物の生産を目指している。地域の農家を活性化する取り組みも始まっている。持続可能な農業を構築し、飢餓の根絶につなげるために、県内でも関係者が努力を重ねている。



島の事情 適したサトウキビを

県農業研究センター 糸満市

 県の基幹作物として戦前・戦後復興期の沖縄を支えたサトウキビ。現在も離島経済を支える重要な作物だ。近年は農家の高齢化や担い手不足でサトウキビ農業を取り巻く環境は激変した。省力化を図るための機械の導入に対応した品種の開発が取り組まれている。島によって異なるさまざまな事情にも向き合いながら品種改良が続いている。

 糸満市真壁にある県の研究機関「県農業研究センター」は、栽培管理の研究や新技術の開発など多様な研究を行う。同センター作物班は、約3万平方メートルの広大な畑で品種育成に関わる研究を重ねる。

 これまでサトウキビ34品種を開発し、農家を支えてきた。一品種の開発には最短でも11年、長期にわたるもので20年近くの年月を要した。大見のり子主任研究員は「時代の変化や島ごとに抱える事情によって適した品種は変わる」と話す。


サトウキビの栽培管理・育種を研究する作物班の大見のり子主任研究員=糸満市の県農業研究センター

 同センターは各離島の課題に寄り添い研究をする。主に黒糖を生産する含蜜糖地域の8離島は小規模農家が多く機械化が進まない。収穫時には手刈り農家同士が助け合う慣習が根強いことも背景にある。

 手刈りが多い地域では、葉を取りやすい品種「Ni27」が手間が掛からず人気を集め、宮古・八重山地域で広く普及している。8月には黒糖の産地・波照間島向けの黒糖専用品種「RK03―3010」が、県の奨励品種に採用された。黒糖にした際の品質が良好で、安定した高品質な黒糖生産が期待される。

 塩害、風折、病害など各課題に強い品種はあるが、全ての課題に対応する完璧な品種育成は難しい。さまざまな品種を開発し普及させることで、欠点を補い合える。大見主任研究員は「主要作物がサトウキビのほかにはない島もあり、サトウキビは離島にとってなくてはならない存在だ。農家がいる以上研究を続けたい」と語る。




根底に「お裾分け」の精神

ハッピーモア市場 宜野湾市

 宜野湾市の農産物直売所ハッピーモア市場には、安心・安全の野菜や果物がそろう。「農家の皆さんが家族や親戚のために育てた農作物は品質も良く、心も体も元気にしてくれる」と多和田敬子副社長は語る。地域の農家とつながりを深めながら農作物を仕入れている。家庭菜園で育てた野菜なども受け入れており、「農家も消費者もみんなが喜ぶ市場を目指す」と力を込める。


農家が育てた安心・安全な農作物を販売するハッピーモア市場のスタッフら=宜野湾市志真志

 根底にあるのは「お裾分け」の精神だ。少ない分量でも収穫した作物を持ってきてもらい、ハッピーモアで販売することで農家の収入につなげる。安心・安全の農作物は消費者の健康にもプラスになり、販売収入を得られれば農家の活性化にもつながる。余った野菜を畑の肥料などにせず、ハッピーモアで販売することでフードロス削減の効果も期待できる。多和田氏は「いい食の循環ができている」と語る。

 現在は約600の農家から農作物を受け入れる。販売する作物は農薬や肥料の有無などを消費者に分かりやすく明示している。多和田氏は「素晴らしい農作物を育てている人たちをこれからも応援したい」と笑顔を見せた。




食料自給率、主要品目で後押し


 農林水産省がまとめた日本の食料自給率によると、1965年度の73%をピークにその後は低下傾向にあり、2018年度は37%にまで下がった。背景には、農業の担い手不足による生産量減少や貿易自由化による輸入作物の増加がある。輸入原材料の割合が高い小麦、油脂類、畜産物を多く摂取する欧米型の食生活が普及したことも影響している。

 県内の17年度食料自給率はカロリーベースで33%、生産額ベースは56%になった。農水省が都道府県別データの公表を始めた98年以降、カロリーベースは30%前後で推移する。

 県内食料自給率は県の「基幹作物」であるサトウキビが占める割合が大きく、サトウキビ生産量の増減に伴い食料自給率も動く傾向にある。

 都道府県ごとに適地適作があることから、県の主要品目であるサトウキビ、畜産、果樹などの安定生産・供給に取り組むことが、国の目標とする45%を後押しすることにつながる。



SDGsとは…
さまざまな課題、みんなの力で解決すること


 世界が直面しているさまざまな課題をみんなの力で解決していこうと2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が決められた。

 「持続可能な開発」とは、資源を使い尽くしたり環境を破壊したりせず、今の生活をよりよい状態にしていくこと。「貧困」「教育」など17の課題に整理し、目標を立てている。

 大切なテーマは「誰一人取り残さない」。誰かを犠牲にしたりすることなく、全ての人が大切にされるよう世界を変革しようとしている。

 視線を未来に向け、日常を見直すことがSDGs達成への第一歩になる。












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