政治

沖縄の核 検証必要 ゴルバチョフ元ソ連大統領インタビュー

インタビューに答えるミハイル・ゴルバチョフ氏=2019年9月19日、モスクワ

 東西冷戦終結の立役者で、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(88)はこのほど、ロシアのモスクワで琉球新報の単独インタビューに応じた。沖縄が日本に復帰した1972年以降、89年に終結する冷戦時代から現在に至るまで、米国の核兵器が沖縄に存在するとの情報を把握しているかとの質問に対し、明言を避けつつも、レーガン元米大統領の「信用せよ、されど検証せよ」という言葉を引用し、検証の必要性を提言した。復帰後の非核化に疑念を示唆した形だ。

 沖縄の核兵器は復帰時に米国が撤去したとされるが、米国は、沖縄返還交渉の過程で非核三原則を保証する書簡を出す条件として「核の確認や沖縄の貯蔵施設への査察をしないこと」を提示し、日本政府はこれを受諾している。沖縄の非核化は客観的に検証されていない。

 また、ゴルバチョフ氏は87年にレーガン氏と調印した中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に破棄されたことで、米国が沖縄など日本に中距離ミサイルを配備する可能性にも触れ「沖縄県民の皆さんと同じ気持ち」と述べ、強い懸念を示した。配備に対抗する意味でも核の持ち込みを検証できる態勢づくりを提起したとみられる。「(沖縄の)皆さんの平和のための闘い、軍事基地への対抗は尊敬すべきものだ」とも述べた。

 同条約破棄後、ゴルバチョフ氏が日本のメディアのインタビューに答えたのは初めて。

 ゴルバチョフ氏は条約破棄により「危険で破壊的な傾向が顕在化している」と危機感を示した。米国が条約から離脱した背景には「兵器分野におけるいかなる制限から脱してでも、絶対的な軍事的優位性を得ようとする狙いがある」と指摘した。トランプ大統領の核軍備拡張方針について「自分の意思を世界に押し付けている。しかし、これは幻想的で実現不可能な願望だ。現代世界では一国の覇権は不可能だ」と批判した。

 条約破棄は、世界の戦略的バランスの不安定化、新しい軍備拡大競争、世界政治の、より大きな混乱と予測不可能な状況を生み出すとし「各国の安全性が損なわれるだろう。このような自然発生的に生まれた全ての連鎖は、制御不能な過程をたどるだろう」と予測した。

 その上で「安全保障問題の解決の鍵は兵器ではなく、政治にある」と強調。「今は極めて重要な時期だ。過剰な感情とプロパガンダ(政治宣伝)を消し去る必要がある」と述べ、主要各国の指導者に対し「今日の現状に異を唱えよう」と訴えた。一般市民にも、より安定した世界秩序の実現に向けて力を合わせ行動することを呼び掛けた。
 (新垣毅)



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