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増え続ける民泊施設 騒音や違法駐車…地域とのトラブルも 解決の鍵は…〈熱島・沖縄経済 第2部〉15


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
地域に密着した運営を続ける「琉球古民家とぅまいばる」の下地正則さん=18日、本部町浜元

 本部町浜元の住宅地近くに、古い住宅を活用した民泊施設「琉球古民家とぅまいばる」がある。国内外から訪れる観光客に加えて、修学旅行生の教育民泊も受け入れる。宿泊者は本部町の食事や伝統文化を体験するなど、地域に密着した取り組みを続ける。施設を運営する下地正則さんは「地域と交流を続け、事業を理解してもらうことで民泊への偏見もなくなるはず」と力を込める。

 沖縄を訪れる観光客の増加に伴い、手ごろな価格で宿泊できる民泊施設は県内各地で増加する。住宅宿泊事業法に基づく県内の民泊届け出件数(10月10日時点)は1155件で、東京や大阪、札幌に次ぐ多さとなっている。

 下地さんは「本部町内でも民泊は急増している。県外の事業者が進出するケースも多いようだ」と語る。地域住民に運営状況を周知しないまま外国人客を受け入れる施設もあり、騒音や違法駐車、住宅敷地内への侵入など多くのトラブルが起きている。

 下地さんは「地域の人たちと交流できることが民泊の強みのはずなのに、その取り組みがまだまだ弱い」と感じている。民泊事業者と地域住民の間に隔たりがあるのが現状で、互いの理解が深まらないままトラブルだけが表出しているという。下地さんは「地域密着の運営が可能な民泊の良さを生かし、周辺住民とのつながりを深めることでトラブルを回避できる」と課題解決の道筋を示す。

 本部町観光協会も地域に根付いた民泊を増やし、修学旅行生などの受け入れ強化を目指す。町観光協会の當山清博会長は「地域密着の事業をやることで長く民泊を続けられる。そのような民泊は多くの人に選ばれるだろう」と語る。

 住宅密集エリアに民泊がある那覇市でも、周辺住民とのトラブルが課題となっている。日建開発(那覇市)は那覇を中心に県内各地の民泊施設を管理しており、柿本洋統括マネージャーは「何か苦情が出た時に迅速な対応をすることが求められる」と強調する。

 トラブル発生時の連絡先などを民泊施設の周辺住民に伝え、問題に適切な処理をすることで、地域との摩擦は軽減できると見ている。柿本氏は「地域のルールを宿泊者に説明し、マナーを守ってもらうことも大事になる」と語る。

 2020年3月には那覇空港の第2滑走路が供用開始予定で、今後も観光客の増加が見込まれる。民泊は大人数の宿泊客も一室で受け入れ可能で、柿本氏は「今後も需要は高まるはずだ」と考える。長期滞在をする欧米客の宿泊場所としても民泊を活用できるという。柿本氏は「ホテルとは異なる新たな選択肢を観光客に提供できる」と民泊の強みを説明する。

 地域とのトラブル発生を防ぎ、沖縄の魅力を発信する施設になるため、民泊事業者の模索はこれからも続く。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)