社会

「宝、守れず悔しい」 首里城消火活動で陣頭指揮をとった消防署長の無念の思い

「沖縄の宝を守れなかった悔しさと喪失感がある」と語る中央消防署の照屋雅浩署長=1日午後、那覇市の中央消防署

 とぐろを巻く火柱、目の前で崩れゆく首里城。現場で陣頭指揮を執った那覇市消防局中央消防署の照屋雅浩署長(56)が1日、琉球新報の取材に応じ「戦後復興の証、沖縄の宝を守れなかったという消防職員としての悔しさと、大きな喪失感とで頭が整理できていない」と率直な思いを打ち明けた。

 通常の指揮体制から格上げし、照屋署長が招集されたのは、通報から約20分後の10月31日午前3時ごろ。随時、状況は聞いていたが、現場に急行する道中で燃え盛る首里城を目にして実感が湧いた。

 現場に着くと既に正殿全体が炎に包まれ、北殿の一部、南殿は半分ぐらいが燃えていた。風が強く、かなりの火の粉も舞っていた。「正殿は厳しいと判断し、正殿の消火から延焼阻止に作戦を変えた」

 指揮本部がある奉神門から御庭(うなー)に入り、正殿から約20~30メートルまで近づいた。耐熱衣を着ていても耐えられないほどの熱さ。「隊員はみな、首里城を守りたい、何とかしたいと思っていた」。那覇市出身で首里城への愛着は強いが、隊員の安全を考え、放水地点を後退させざるを得なかった。圧倒的な火災への無力感に「涙を流しながら活動した隊員もいたと聞いた。本当に悔しかった」と語る。

 ほぼ計画通りの消火活動ができたというが、高い城壁や複雑な城の構造でホースを何本も延長したり迂回(うかい)させたりと苦戦した。「まずは原因を究明し、検証する。二度とこのような火災を起こさない」と決意を語った。



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