首里城焼失 国が防火設備撤去 安全管理の見通しの甘さ浮き彫り


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 那覇市首里当蔵町の首里城の正殿や北殿、南殿など計7棟が焼失した火災で、正殿の外に設置されていた「放水銃」と呼ばれる消火設備5基のうち1基を、2013年12月までに国が撤去していたことが1日、分かった。沖縄総合事務局の担当者は本紙の取材に「火災発生時にも放水銃4基で対応できると判断し、代わりの防水設備を設置しなかった」と回答した。今回の火災は、スプリンクラーなどの消火設備の不足が大規模な延焼につながったと専門家らは指摘しており、安全管理の見通しの甘さが改めて浮き彫りになった。

 首里城公園を管理する沖縄美ら島財団によると、放水銃は正殿外部の初期消火や延焼防止のために設置され、火災発生時に手動で正殿の屋根上部まで放水できるようになっている。

 当初は正殿の北側、東側、南側にそれぞれ1基と正面の御庭に2基の計5基があったが、13年12月に完了した黄金御殿の復元工事に伴って南側の1基が撤去された。

 同財団の広報担当者は「復元工事は11年から13年にかけて行われ、この間のいずれかの時期に撤去された」と説明。放水銃の撤去について、首里城公園を今年2月まで管理していた国と、管理を受け継いだ県、指定管理者の財団いずれもホームページや公開資料で周知していなかった。

 同財団が1日に行った会見では火災発生時、正殿の軒下に設置されていた「ドレンチャー」という外からの火を防ぐ消火設備のみが作動し、放水銃4基は火災による熱で近づけなかったため、使用できなかったことも明らかになった。