沖縄伝統の赤瓦のふき職人でつくる県琉球赤瓦漆喰(しっくい)施工協同組合は5日、焼失した首里城の赤瓦を保存、活用するよう求める要請書を玉城デニー知事宛てに提出した。組合は要請後、県庁で記者会見し「焼け残った瓦は資料的価値があり、復興のシンボルになる」としている。
要請書では(1)焼け残った赤瓦は可能な限り回収し、利活用する(2)再利用可能な瓦は再建、復元に使用する(3)瓦回収に組合が関わる―の三つを求めている。
組合によると、首里城の赤瓦は2014年に亡くなった奥原崇典氏が制作。奥原氏の瓦は極めて高温で焼いており頑丈で、つややかな表面が特徴的だという。田端忠代表理事は「土のブレンドなどが特殊でほかの窯元では再現できないと聞いている。首里城を今後再建する上の資料としても貴重だ」と話す。
北殿や奉神門の瓦ぶき作業に携わり、現代の名工にも選ばれている山城富凾(とみじょう)さん(87)と大城幸祐さん(85)は「奥原さんの赤瓦が再建した首里城の全ての瓦のベースだ」とした上で、「奥原さんが亡くなった以上は残った瓦を参考にするしかない。ぜひとも残してほしい」と口をそろえた。