今帰仁村の湧川小学校跡地で農作物直売所やレストランを運営する農業生産法人あいあいファーム(同村、木村修社長)が10月30日に、那覇地裁に破産を申請した。同社は農作物の地産地消や農村活性化の取り組みが6次産業化のモデルケースとして全国的にも評価を受けていたが、来園者の低迷を脱せずに売り上げが伸び悩み、経営不振に陥っていた。負債総額は約2億円になると見られる。
東京商工リサーチ沖縄支店が5日に発表した。湧川小跡地で運営する施設は、10月30日付で営業を停止している。関係者によると、施設の従業員20人は同日付で解雇となった。今後の運営方針は決まっていないという。
湧川小跡地は今帰仁村が無償であいあい社に貸し出してきた。喜屋武治樹村長は「廃校を活用する新しい事業として期待をしていたので残念だ。(湧川小跡地は)村民の財産でもあるので、裁判所の最終決定が出れば早めに再利用、再活用を含めて検討したい」と話した。
あいあいファームは、「だいこんの花」などを運営する飲食事業のアメニティ(那覇市)が、飲食店に野菜や有機食材を供給する関連会社として2009年に設立。アメニティ社は18年1月にあいあい社の現経営陣に湧川小跡地での事業を譲渡し、現在は両社に資本関係はないという。
湧川小跡地の施設は廃校となった校舎を改装し、農作物直売所や食品製造の体験施設、宿泊施設などを整備した。17年度の「6次産業化優良事例表彰」で最高賞の農林水産大臣賞を受けるなど、農作物の生産から加工、販売まで一貫して手掛ける6次産業事業で注目を集めたが、厳しい運営状況が続き累積赤字を抱えていたという。