希少カメ、一体どこへ? 行方不明で被害届提出 沖縄こどもの国園長「油断あった」


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行方不明になったリュウキュウヤマガメとセマルハコガメが飼育されていた展示場=6日、沖縄市の沖縄こどもの国

 【沖縄】沖縄市の動物園「沖縄こどもの国」で飼育する国指定天然記念物で絶滅危惧種リュウキュウヤマガメ15匹とセマルハコガメ49匹が行方不明になっている問題で、同園は6日、盗難の可能性が高いとして沖縄署に被害届を出した。県外への持ち出しを防ぐため、県や国の関係機関にも協力を要請する。神里興弘園長は同日、本紙の取材に「油断があったのは確かだ。管理面に不十分な点がなかったかを検証したい」と答えた。

 展示場では昨年9月にもリュウキュウヤマガメとセマルハコガメ約10匹の行方が分からなくなっていたが、盗難の形跡を確認できず被害届は提出しなかった。大宜見こずえ動物園課長は「(今回は)これだけの数になると悪質だ」として、改めて盗難の可能性を示唆した。

 園によると、行方不明が発覚したのは10月28日午後2時半ごろで、飼育員が25日に確認したのを最後に、いつカメが消えたのかは不明。付近に防犯カメラが設置されていたが樹木で隠れ、展示場周辺の様子は記録されていないという。神里園長は再発防止策について「金網による展示を考えている」とした。

 琉球列島の希少動物に詳しい伊澤雅子琉球大教授は、県内で希少種の保護施設が少ないことに触れ「施設に保護活動の予算も充てられず丸投げの状態だ」と指摘。公表遅れについて「緊急時の通報体制など問題点を洗い出し、市や県、国など行政による体制づくりが急務だ」と話した。