政府が6日に開いた首里城復元のための関係閣僚会議で、安倍晋三首相は早期の再建に強い意欲を示した。首里城の火災から1週間となるのを前に対応の迅速さが際立つが、建築資材や人材の確保など乗り越えるべき問題は多い。
当面の課題となる補正予算対応について内閣府関係者は「まだ火災現場の確認も終えていない。何を盛り込むべきかはモヤモヤしている」と言葉を濁らせる。
がれきの撤去を終えた後も、実際の着工に向けては課題が山積する。1992年の首里城復元に当たって使われたヒノキは、台湾当局から特例が認められて確保した経緯がある。
自民党関係者の中には良好な日台関係を背景に台湾産を再び活用することに期待の声もあるが、先行きは見通せない。環境保護意識の高まりも資材を確保する上で議論となり得る。
焼失前の首里城の設計図はあっても使われる木材や組み方が変われば、その強度に合わせて設計を見直す必要も生じ得る。違う木材を使うことが迫られれば、専門家らと意見交換を重ねることも想定される。政府関係者は「進められるものだけ進めるのではなく、協調しながら全体で進める必要がある」と話した。
政府幹部は「予算は問題ではない」と述べるが、首里城の象徴の一つである赤瓦も含め、職人の確保も一朝一夕にはいかない。早期再建に向け与野党を超えて動きが活発化する一方で、「地に足の着いた議論」が求められている。
(知念征尚)