多くのママが救われている「死なせない育児」って? インスタで発信 ボンベイさんに聞く


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「親も子どもも笑顔でいられることが一番」と語るボンベイさん=那覇市泉崎の琉球新報社(喜瀨守昭撮影)

 「完璧な母親」を目指して追い詰められた経験から「親も子どもも死なせない」を最重要ミッションに掲げ、頑張りすぎない育児をSNSで発信している女性がいる。浦添市出身で現在は富山県で暮らすボンベイ(本名・本田美希)さん(31)。これまでの発信内容をまとめた著書「家事なんて適当でいい!」(KADOKAWA)をこのほど出版した。読者からは「心が楽になった」などの感想が寄せられている。

 フォロワー9万5千人のボンベイさんのインスタグラム(写真投稿アプリ)には「週に4日は豚汁とごはん」「洗濯物片付けめんどう対策に投げ入れ部屋」など、子育て中の親なら「これでもいいのか」と気が楽になる育児、家事の方法が並ぶ。「優先順位を決め、優先度の低いことは『捨てる』。適当は手抜きではなく効率化」と明るく話す。

 現在、5歳の長女と2歳の双子の3人を育てるボンベイさんが「死なせない育児」の投稿を始めたのは「なぜ双子を含む3人の子育てをしていて笑っていられるの」と聞かれたことからだった。ボンベイさんも最初から育児がうまくいっていたわけではない。

 長女の出産直後は「本当につらかった」。初めての子育ては分からないことだらけで、うまくいかない。実家は遠くて頼れない。家業を継いだ夫は仕事が忙しく出張続き。さらに夫の両親との同居もストレスになっていた。

著書「家事なんて適当でいい!」(KADOKAWA)

 夜中、何時間も泣きやまない娘をベビーベッドに放り投げてしまったことが1度だけある。すぐにわれに返り「こんな最低な母親が産んでしまってごめんなさい」と泣きながら何度も娘に謝った。その時のことは今でも鮮明に覚えている。

 「このままじゃいけない」と思い、自分を苦しめているのは何か、自分の心に浮かんだことを紙に書いて、自己分析した。分かったのは、良い母、良い妻、良い嫁であるために「―しなければならない」という思い込みに基づく「自己犠牲」が自分を苦しめている―ということだった。

 本当に大切なことは家族全員が笑顔でいられること。そのために今の自分に必要ない“当たり前”を捨てた。そして少しずつ自分のやりたいことをやり、人に甘える練習もした。すると次第に心に余裕が生まれてきた。

 「子育てに正解はない」と言われる。ボンベイさんは「私のやり方を人に押し付けるつもりはない」とした上で一つだけ強調した。「子育て中の母親はもっと自分自身を大切にしてほしい。自分が幸せになることが子どもの幸せにつながる」
 (玉城江梨子)