「オスプレイにリスク」 エンジン改善を勧告 米監察機関が報告書


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 【与那嶺路代本紙嘱託記者】米国防総省の監察総監室は7日付で、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのエンジンの空気ろ過装置に関する報告書を公表した。2018年に再設計されたろ過装置は、最初の仕様の4倍も砂を吸い込むことや、運用している砂漠地域の砂を調査していないと指摘。「オスプレイには依然としてリスクが残る」と米軍に改善を勧告した。

 15年にハワイで起きた米海兵隊のオスプレイ墜落事故は、自ら舞い上げた砂ぼこりを左エンジンが吸い込み、出力を喪失したことが原因だった。18年に空気ろ過装置が再設計されたが、今回の報告書で危険性が依然として除去できていないことが明らかになった。

 国防総省監察総監室は同省を客観的に監督する独立機関。

 報告書では、オスプレイを管理する米海軍航空システム司令部に対し(1)全ての砂漠に対応する新たな空気ろ過装置とエンジンの再評価(2)実際にオスプレイを運用している環境での砂の構成物や濃度の調査計画の作成―を勧告した。「(司令部も)今のろ過装置が長年の課題を解決できるとは確信できていない」とも記した。

 報告書には司令部のコメントも記載。「(監察総監室は)オスプレイの空気ろ過装置にだけ焦点を当てており、厳しい環境でも安全に運用できる戦略を包括的に評価していない」と反論している。

 空気ろ過装置の再設計はこれまで10年、11年、18年と3回行われてきた。

 中東などの砂漠地帯で運用されるオスプレイは、大量の砂がエンジンに吸い込まれ、エンジン故障を早める原因となっている。