文化財保存、研究に力 沖縄考古学会 50年で式典


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 沖縄考古学会(上原靜会長)は16日、那覇市の県立博物館・美術館で同会の創立50周年記念式典を開催した。文化財の保存、研究に尽力した半世紀の歩みを振り返り、今後の沖縄考古学研究の発展に向け、思いを新たにした。

沖縄考古学会の上原靜会長(左)から50年記念功労者表彰を受け取る當眞嗣一氏=16日、那覇市の県立博物館・美術館沖縄考古学会の上原靜会長(左)から50年記念功労者表彰を受け取る當眞嗣一氏=16日、那覇市の県立博物館・美術館

 上原会長は、1969年の設立以降を振り返り、日本復帰後に開発が急速に進む中で恩納村の仲泊遺跡など、少なくとも21件以上の遺跡について保存要請活動を実施したことに触れた。今後に向け「考古学会誌の査読制の導入を模索し、若手会員の育成にも力を入れる。沖縄考古学の学問レベルの向上を目指していく」などと説明。少子化に伴う学生の減少対策にも取り組むと述べた。

 同会顧問の當眞嗣一氏が記念講演し、考古学として戦争遺跡を調査・研究する「戦跡考古学」について紹介した。當眞氏は「考古学は古いことを研究するのが主だが、現代的な課題の一つとして戦跡考古学に取り組む必要があるのではないか」と提起し、戦争の悲劇を繰り返さないため、考古学の視点で研究に取り組む意義を強調した。

 記念式典では、考古学研究に長年尽力し、同会に貢献してきた高宮廣衞氏、嵩元政秀氏、新田重清氏、宮城長信氏、知念勇氏、當眞嗣一氏、金武正紀氏、安里嗣淳氏の8人に対し、創立50年を記念した功労者表彰が贈られた。