<解説>
那覇港管理組合が次年度内に港湾計画案を決める考えを示したことは、移設する米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の配置についても地元での合意形成を加速させる県と那覇市、浦添市の意思の表れだ。民間の港湾計画を決めるには軍港の配置についても県と那覇市、浦添市の合意が前提となるためだ。
玉城デニー知事と城間幹子那覇市長、松本哲治浦添市長は10月の3者会談で、軍港代替施設の配置については移設協議会の枠組みで話し合うことを決めた。松本市長はトップ同士が顔を合わせて話し合うことにこだわっていたが譲歩した形だ。
背景には次年度にある浦添市長選や市議選、県議選をにらみ、市内の経済界を中心に軍港配置にこだわらず開発を前進させるよう求める声が強まっていることがある。軍港の配置が定まらなければ、浦添ふ頭地区全体の整備が遅れるためだ。
軍港の位置は最終的に政府を含む移設協議会で決定する。ただ協議会では民間港の計画に沿う形で軍港を移設する方針を確認しており、地元で合意できればその意思は尊重されるとみられる。地元の不合意という、流れを止めてきた最大の要因が解消され、軍港移設を含めた浦添ふ頭地区の整備は加速する可能性が高い。
移設計画に動きが見え始め、移設の必要性や是非についての議論も本格化しそうだ。玉城県政は移設そのものに反対の立場を取る与党にも向き合わざるを得ない。名護市辺野古の新基地建設を引き合いに出す野党の追及も避けられない。
(明真南斗)