復帰前の1966~69年の間、日本基督教団の宣教師として沖縄キリスト教団に派遣されていたウィリアム・エルダーさん(92)が20日、大阪府から来県し、牧師の平良修さん(87)と約50年ぶりの再会を果たした。2人は米統治下で沖縄が圧政を受けていた当時を振り返りつつ、民意に背く形で強行的に続く辺野古新基地建設に関して「当時と状況は全く変わっていない」などと語り、沖縄の置かれている現状を憂いた。21日には西原町で「米軍占領下の沖縄の教会」との演題で講演し、互いの証言や思いを伝える。
平良さんは66年、アンガー高等弁務官の就任式に出席し「新高等弁務官が最後の高等弁務官となり、沖縄が本来の正常な状態に回復されますように」と祈りをささげたことで知られる。平良さんは就任式の前にエルダーさんに相談していたという。エルダーさんも「この祈りは私の祈りではない。ミスター平良の祈りなのだ」と語り、平良さんの祈りの言葉に賛成していた。
約50年ぶりに再会した20日は、51年前にアンガー高等弁務官が退任し、後任にランパート中将が就任した日に当たる。再会後、2人は宜野湾市内で記者会見を開いた。
エルダーさんは新基地建設が続く現状について「あの頃(復帰前)と何ら変わっていないと思う」と絞り出すように語った。復帰後の沖縄を本土から常に見続けてきたが「本土にいて沖縄の現状を訴えたが、(本土では)沖縄が差別されていることを分かっていない」との思いも感じてきたという。
平良さんは「当時の正常な状態は沖縄が日本に復帰することだと思っていた。その反面として(就任式で)批判した経緯もある。だが、むしろ沖縄の置かれている状況は悪くなっている」との思いを語った。
エルダーさんは今回、名誉教授を務める大阪女学院大の研究活動の一環として沖縄を訪問し、復帰前の沖縄の教会について聞き取りをする予定。21日の講演会は午後7~9時、西原町の沖縄キリスト教学院シャローム会館で開かれる。クリスチャン向けの講演会だが、一般の参加も受け付けている。入場は無料。