海ブドウの実のような部分、実は葉だった? 沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミクスユニットは20日、海ブドウ(和名クビレズタ)の粒の部分では光合成や植物ホルモンに関連した成長に関わる遺伝子群が活発に働いていることが分かったと発表した。県産品として知名度が向上している海ブドウだが、同じ施設で同じように栽培しても健康な海ブドウと育ちが悪い海ブドウが出ることがあるといい、生産現場では模索が続いている。研究が進み、細胞内での遺伝子の動きや部位の役割が解明されれば、栽培方法の改善にも役立ちそうだ。
海ブドウは全体が巨大な単細胞生物で、なぜブドウの房のような形になっているのか、各部位がどのような機能を果たしているのかなど謎が多い。恩納村漁業協同組合から海ブドウの提供を受けたOISTは、遺伝子を高速で読み取る機器「次世代型シーケンサー」を用いて遺伝子の役割を網羅的に明らかにすることに成功。粒の部分は光合成、ツタの部分はタンパク質の合成に関する遺伝子が活発に働いていることを突き止めた。
7月までOISTの研究員としてこの研究に携わり、現在は広島大学大学院で助教を務める有本飛鳥氏は「研究で遺伝子の働きの全体像が分かった。健康な海ブドウと生育不良の海ブドウの遺伝子を比較すれば、生育不良の原因が分かり、栽培環境の改善に役立つかもしれない」と、研究成果が栽培技術の改善に役立つことを期待した。