人の特徴を表す言葉として、「こじらせる」という言葉を最近よく耳にします。面白いのですが、定義が曖昧なので、私なりに勝手に定義してみました。
(1)なりたい自分になれていない。(2)それを人や環境のせいにして苛立(いらだ)ち、毒づく。(3)そもそもなりたい自分の理想がすごく高い。(4)理想よりもプライドが高く、自意識が過剰。(5)だから一歩踏み出す勇気がない。(6)何もしていないのに悪態をつくため、大物感が出てしまい、どんどんハードルが上がり、ますます踏み出せない。悪循環。
こんな感じでしょうか。私も長いことこんな感じでしたから、こじらせ主人公・サクラを見ていると、大変甘酸っぱい。
そしてこの映画がすごいのは、サクラの成長と共に、彼女の住む町、神奈川県「大和」の基地問題を描いていること。ラッパーになりたいのに人前で歌えない、ダサいサクラの背後に響く戦闘機の騒音。映像を支配する壮大な基地。基地のある町の問題に言及せず、青春映画を通してそれを感じさせる、とても秀逸な作品です。監督は宮崎大祐。
(桜坂劇場・下地久美子)