収蔵品1109点現存 首里城火災 尚育王直筆の書焼失


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 10月31日に発生した首里城火災で、美術工芸品などの収蔵品総数1510点のうち焼失を免れて現存が確認されたのは1109点で、所在が確認できずに焼失したとみられるのは401点であることが22日、沖縄美ら島財団のまとめで分かった。同日行われた県執行部と同財団による県議会への説明会で公表した。第二尚氏の第18代国王・尚育が書き、国王直筆の貴重な書である「尚育王書(しょういくおうしょ)」が焼失したことも確認された。同財団は独自に第三者委員会を設置し、収蔵品の保全・管理や修復・復元の進め方などについて検討する。

 同財団によると、国内外に散逸した首里城関係の文化遺産を収集・復元するために自治体や民間からの寄付を募る「首里城基金」の基金額は現在、約8億円。同基金は今後、火災で被害を受けた美術工芸品などを修復する費用に活用していく方針。同財団はホームページでも基金への寄付を広く呼び掛け、収蔵品の修復促進へつなげていく考えだ。

 火災時、耐火性のある南殿収蔵庫や寄満(ゆいんち)収蔵庫などに保管されていたために焼失を免れた1109点は、どの程度の損傷被害があるのかについて同財団が専門家を交えて調査を進める。

 県議会への説明資料では、焼失を免れた県指定有形文化財の絵画「白澤之図(はくたくのず)」の火災後の状態、火災で焼けて展示ケースが割れた南殿展示室、搬出した収蔵品の損傷状態を確認する作業などの写真も公開された。

 沖縄美ら島財団の花城良廣理事長は22日、県議会への説明で「残念ながら(首里城収蔵品の)3分の1は焼失した。今後、第三者委員会を設置し、これだけの収蔵品をどこでどうストックするのかも含めて検討していただくことを考えている」と話し、火災の教訓を踏まえ、収蔵品の管理手法を再検討する考えを示した。

首里城の火災で焼失した尚育王書