[日曜の風]桜を見る会 「安倍=この国」なのか


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 「桜を見る会」はわかりやすい権力の私物化だ。安倍晋三首相は山口県からバス17台分、850人もの自分の後援関係者らを招待し、一晩の宴会に5500万円も使った。

 しかも、招待券が8万円でブローカーに出回っていたという報道もある。もしブローカーが入っていたら、誰が来ているかもわかるまい。ではなぜ、国民の心を縛る共謀罪が必要だったのかという話にもつながる。

 この政権はなにもかもデタラメだ。

 問題は今回だけのことではない。加計学園問題、森友学園問題、英語の民間共通試験だって、根っこの部分がおなじだ。

 安倍首相やそのお仲間が、自分たちのために、共通のルールをねじ曲げる。そして、悪事がバレそうになると文書を改ざんしたり廃棄したり、力技で悪事をなかったことにしてしまう。

 この国の抱える問題は多い。進む超少子高齢化や、儲(もう)かりそうな新しい産業が育っていないとか、事故を起こした原発がメルトダウンしているとか。ユニセフに心配されるほど、子どもの貧困も増えた。

 そのひとつひとつの問題をクリアしていくには、為政者の真摯(しんし)な対応が必要に決まってる。安倍政権は真逆だ。皇室行事やスポーツで国威掲揚を狙い、隣国への敵意を煽って国内不満がたまらないようにする。

 どれもこれも爆発しそうな国民を抑えるには良い手なのかもしれない。が、この国の問題の解決に向かっていない。問題がなにひとつ解決しないまま、時間が経過し、無駄なお金が使われてゆく。

 15日夜、安倍首相は急に集められた記者団の前で20分間、「桜を見る会」の話をした(本人は会見といっている。これで幕引きにしたい模様)。そこで、大量に招待した自分の後援会関係者について聞かれると、がんばってる市井の方々も招待したかった、というようなことを答えた。

 これが安倍首相のヤバさである。安倍首相を応援する人はこの国の功労者となるのか?

 自分=この国だと考えているのだろうか?

(室井佑月、作家)