米国防法案まとまらず 汚染物質の規定も争点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【与那嶺路代本紙嘱託記者】米国防予算の大枠を決める国防権限法案は、つなぎ予算期限の21日を過ぎても最終案がまとまらなかった。上下院の軍事委員会で主な争点となっているのはメキシコ国境での壁の建設費だが、県内米軍基地周辺で検出されている化学物質PFASの規定についても、もめている。

 PFASは、県内米軍基地周辺の地下水や河川から検出されている汚染物質PFOSやPFOAなど有機フッ素化合物の総称。米軍の泡消火剤に使われる。米国内で少なくとも425カ所の基地周辺で水質汚染が確認され、問題化している。

 国防法案は当初、11月中にまとまる予定だった。だが、米政治専門紙ザ・ヒルによると「妥結の直前にペロシ下院議長が、PFASの規定を法案に入れなければ法案の投票をさせないと言いだした」(上院のインホフ軍事委員長)。

 上下院それぞれの法案にPFAS関連の条項があるが、下院案は危険物質と法で指定して汚染浄化まで義務付ける広範な内容だった。だが国境の壁を巡り両委員会の協議が長引くにつれ「PFASは他の委員会に任せる」とし、国防法案に盛り込まないことで一致した。これに他の下院議員の不満が大きかったという。

 協議は12月に持ち越された。両委員会は、次のつなぎ予算の期限となる12月20日までには法案を確定させる意向だ。在沖海兵隊などの分散移転計画を再検証する条項が盛り込まれるかどうかも注目される。