名護市辺野古の新基地建設に巡り、沖縄県による埋め立て承認撤回を取り消した国交相の裁決が違法だとして県が国を相手に起こした抗告訴訟の第1回口頭弁論が26日午後、那覇地裁(山口和宏裁判長)で開かれた。意見陳述に立った玉城デニー知事は「法の番人として地方自治の理念を守るために、具体的な審理を行い、正しい判断をしてほしい」と訴えた。国側は過去の最高裁判決を持ち出して、県の訴えを門前払いするよう求めた。
訴状で県側は、辺野古に見つかった軟弱地盤などの問題を理由に撤回したことは適法だと主張。沖縄防衛局が私人になりすまして行政不服審査制度を利用するなどして、適法な撤回を取り消した国交相の裁決は違法であり、裁決は取り消されるべきだと求めた。
国側は答弁書で、軟弱地盤などの問題については言及せず、宝塚パチンコ事件の最高裁判決を引用して、県の請求は裁判の対象にならないと反論。那覇地裁に「本件訴えが不適法なものであることは明らかであるから、直ちに弁論を終結し、却下判決がされるべきだ」と主張した。
県は工事を止めるために承認撤回の効力を復活させようと二つの訴訟を起こしている。10月に福岡高裁那覇支部が県の請求を却下し、県が同月末に上告した「関与取り消し訴訟」は沖縄防衛局の行審法利用の是非が争点になるが、今回の抗告訴訟は国交相の裁決の適法性そのものが争う。
早期に判決が確定する関与取り消し訴訟とは異なり、抗告訴訟は数カ月以上、場合によっては1年以上かかるとみられる。【琉球新報電子版】