「ようやく疑いが晴れた」私的なトラブルもやり玉に パワハラ懲戒取り消し ずさんな調査の実態は


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「一方的な処分だった」と憤る島尻消防組合消防本部の司令補の男性=26日、南城市

 「ようやく疑いが晴れた」。沖縄県人事委員会への審査請求によって懲戒減給処分の取り消しが認められた島尻消防組合消防本部の男性司令補(50)は26日、本紙の取材に応じ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。男性は、部下へのパワハラや内部規定違反などを理由に処分を受けたが、県人事委はいずれについても島尻消防側の主張を認めなかった。男性は「関係者への聴取さえも行わない一方的な処分だった」と指摘。その証言で、ずさんな調査の実態が浮かび上がった。

 男性の処分理由とされたのは「職場内でのパワハラ」「脅迫メール」「現場指揮における内部規定違反」の3点。今年1月、火災通報を受けて現場に出動した際の手順が「内部規定違反だった」と幹部に指摘されたことがきっかけだった。男性は「根拠のない圧力と感じた」という。

 幹部は部下らへの言動についても「パワハラ」として問題視し、さらには職務とは関係のない過去の私的なトラブルまでもがやり玉に挙げられた。男性は「パワハラについても当事者への聞き取りが行われたことはなかった。処分ありきでまともな調査が行われたとは到底思えない」と憤る。

 こうした処分に至った経緯や内容については今回の裁決で初めて明らかになったといい、男性は「異議を申し立てて、情報をオープンにしたかった。今回の裁決をきっかけに少しでも風通しが良い職場になれば」と強調した。