“J2元年” 攻撃的サッカー貫いたFC琉球の9カ月間 <FC琉球 サッカーJ2挑戦>上


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琉球―柏 ホーム戦無敗記録を26試合に伸ばし、Jリーグ記録更新を打ち立てた試合でボールを競り合う上里一将(中央)ら=4月7日、タピック県総ひやごんスタジアム

 サッカーFC琉球はJ2初年度を13勝10分け19敗、勝ち点49の14位で締めた。「J2昇格組初の開幕4連勝」、「30試合連続ホーム無敗記録」と二つの金字塔を打ち立てた。だが勝利の日々は長く続かず、その後は8試合未勝利、5連敗を喫し、一時は19位に転落するなどJ2の洗礼を受けた。栄光と挫折を味わいながら、攻撃的サッカーを貫き続けた琉球。9カ月間の「挑戦」を振り返る。(喜屋武研伍)

■開幕4連勝

 新たな歴史の幕開けに立ち会おうと福岡とのホーム開幕戦には7385人が詰め掛けた。新加入の鈴木孝司が2得点を挙げる活躍で3―1でJ1経験のある強豪を退けた。前監督からの「超攻撃的サッカー」を継承し、J2でも勝負できると誰もが確信した。これまでJ2昇格組で開幕から連勝したチームはない。続く大宮、愛媛、徳島を次々と退け、開幕4連勝を達成。選手らは「良いサッカーができている」と自信を感じさせる言葉を口にした。

 序盤は4―2―3―1、4―1―4―1のシステムを使い分けていた。ボランチは上里一将と風間宏希。経験豊富な2人が攻守の要として躍動し、前線には鈴木、最終ラインは増谷幸祐らが守り抜いた。強力な外国人選手がいるわけでも、代表経験者がいるわけでもない。チームとして機能することで強豪との実力差を埋め、互角以上の勝負を繰り広げていた。他チームからのスカウティングが行き届いていなかったこともあり、6戦負けなしと無敗街道は続いた。

■挫折

 順風満帆だったのはここまで。琉球のサッカーは研究され、第5節以降の38試合は一度も連勝がなかった。相手は堅く引いて守り、カウンターから素早く攻められたり、セットプレーからも多く失点したりした。7月の岡山戦はパスサッカーが封じられ、0―2で惨敗。試合後、樋口靖洋監督は「非常に弱い琉球が出てしまった」とこれまでにないほど落胆していた。熱量を失った琉球はそれから、初の5連敗を喫した。

 夏の移籍期間が始まると状況はさらに悪化する。鈴木、増谷や和田凌ら軸となる選手も挑戦の場を求め、次々と出て行った。その後は3連敗。順位は19位に落ち、J3降格圏内(20、21位)を目の前とした。崖っぷちに立たされもがく中、元日本代表MFの小野伸二ら経験豊富な選手がチームを支え、押し上げていった。

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樋口監督 来季続投

 サッカーJ2のFC琉球は26日、樋口靖洋監督が2020シーズンも続投すると発表した。2季目となる。樋口監督は「来季もより攻める姿勢を我々のスタイルとし、長いシーズンをタフに戦う。『攻め勝つ』『勝ち切る』試合を一つでも多くしたい」と球団を通してコメントした。