「貧困問題から向き合って」 公営住宅の入居で保証人不要は1村のみ 市民団体は保証人規定削除を要請


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国交省の方針に基づき公営住宅の入居に際して保証人確保の条件をなくすよう訴える秋吉晴子代表(中央)ら=28日、県庁記者クラブ

 民間団体の調査で、公営団地を保有する沖縄県と県内37市町村のうち、公営住宅の入居に際して保証人を不要としているのは伊是名村の1村にとどまっていることが28日、分かった。国土交通省は昨年3月、高齢化社会を背景に公営住宅管理標準条例から保証人に関する規定を削除するよう、各自治体に配慮を求めているが、民間団体によると県内で保証人を不要とする方向で検討している自治体は、伊是名村のみだったという。

 保証契約に限度額の設定が必要となる改正民法が来年4月に施行されることに伴い、ひとり親を支援する「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ沖縄」などが電話で聞き取り調査した。県側は施行後も「連帯保証人の確保は必要」との見解を示した。そのほか12市町村が「必要」と回答。伊是名村は民法改正を受け不要と改めた。

 本紙取材でも県住宅課は家賃未払いへの対応のため、次年度も引き続き保証人の確保を求めるとした上で、保証の上限額については検討中とした。ただ保証人が見つからない場合は連絡が取れる身元引受人の確保で入居を認めており、この条件で運用を続けるとしている。

 同日県庁で会見した「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ沖縄」の秋吉晴子代表や司法書士の安里長従さんらは「県が対策を進める貧困問題の観点からも住まいの問題に向き合うことは重要だ」と指摘。県議会や各市町村議会に保証人を不要とするなど国交省の方針に基づき関係条例改正を求める陳情を提出、送付した。