【南部】島尻消防組合消防本部が2009年3月~14年2月に複数の職員に、条例の基準を超えた昇格(いわゆる「飛び級」)による昇給をしていたことが29日、分かった。本紙が入手した内部文書で判明した。「飛び級」で昇格した職員は約5年間で少なくとも20人。島尻消防本部職員の一人は「数百万円以上が不適切に支払われた可能性が高い」と話している。職員の給与は南城市と八重瀬町の一般会計から支出されている。本紙の取材に、屋比久学消防長は「不正ではない」と説明したが、根拠は示さなかった。
島尻消防は条例に基づく昇格・昇給に関する規則で「その者の属する職務の級を1級上位の職務の級に決定するものとする」と定めており、1級以上の昇格を認めていない。
しかし、09年3月から14年2月にかけて島尻消防内で作成された決裁文書には、同期間に職員20人が1級から3級に「飛び級」で昇給する人事が記載されていた。中には3万5600円昇給した職員もいる。
屋比久消防長は職員20人が規則に基づかない昇格をしていた点について「把握していた」と認めた。一方で「不正な昇格ではない」との認識を示した。
会計管理者の島袋清正会計課長は「(当時は)1級に5~6年在級したら3級に上げていた」「経験を積んでいるからだ」と説明。「当時の管理者決裁をもらっている」として判断が適正だったと強調した。「飛び級」に伴う昇給に関しては「段階を踏んでも、(給与額の)トータルはそんなに変わらない」と話した。
職員の昇格の基準を定めた人事院規則の「級別資格基準表」に則していると説明しているが、本紙の調べによると、同表が規定する昇給が必要な在級・経験年数とも合致していない。
(嘉数陽)