米軍機に「住宅地上空、夜間飛ぶな」 金武町が独自対策、町内施設屋上に表示


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米軍機の操縦士に視覚で訴えようと役場屋上に描いた「NO FLY ZONE」=金武町役場

 【金武】沖縄県金武町(仲間一町長)は11月から町独自で、騒音防止協定に反する米軍機の住宅地上空飛行や夜間飛行への対策を始めた。役場や学校などの屋上に「NO FLY ZONE(飛行禁止区域)」と描き、米軍機の操縦士に視覚で訴える。自治体独自で予算を組んで同様の対策を講じるのは県内で初めて。仲間町長は「住民生活を守るために町ができることをまずやろうと考えた。現状を変えるには自分たちが動かないといけない」と語った。

 沖縄防衛局は町内6カ所に騒音測定器を設置している。うち米軍キャンプ・ハンセン内のヘリ発着場に隣接する中川区事務所では、2014~16年度に午後10時以降に記録した騒音は年間約150回だったが、17年度に1107回と激増。18年度は1215回と、14~16年度に比べ約8倍に増えた。今年は4~9月の半年間で656回に上り、米軍機による夜間の騒音が恒常化している。

 「NO FLY ZONE」の表示は来年2月までに役場の他、町中央公民館や中川小、金武中など5カ所の屋上に描く予定。文字は夜間も識別できる。表示の大きさは各施設規模に合わせて計画した。役場では一文字約1.5メートル四方。全体で縦約4メートル、横20メートル。

 日米が合意した騒音防止協定では、学校や病院など人口密集地域を避けての飛行や午後10時以降の飛行制限が定められているが形骸化している。

 町の担当者は「独自で取り組むことで少しでも軽減につながれば」と期待した。
 (佐野真慈)