「情報漏えい」調査指示 南城市長、消防記録改ざんの告発を問題視 識者「告発職員は保護対象」


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 島尻消防組合消防本部で内部職員の告発によって報告書の時間記録改ざんが明らかになった問題で、管理者の瑞慶覧長敏南城市長は3日夜、報道陣に対し「情報漏えいの恐れがある。(時間記録の改ざんより)問題だ」と発言した。また「セキュリティーの問題だ」として調査を指示したことも明らかにした。識者は「時間記録の改ざんは虚偽公文書作成罪に当たる犯罪行為であり、通報者は公益通報者保護法の対象になる」と指摘。「処罰のために通報者を割り出すことはあってはならない」と強調した。

消防司令センターからの「指令」の内容を示す「指令書」(左)と、改ざんされたとされる「救急活動記録票」(右)

 島尻消防は3日、規程書き換えや賭博横行など一連の報道を受け、臨時の「正副管理者会議」を開いた。同日付本紙には内部告発で明らかになった救急活動に関する報告書の時間記録改ざんを伝える記事が掲載されており、瑞慶覧市長は会議後「内部資料が出ていることの方がもっと問題だ」とコメントした。

 公益通報者保護法に詳しい猿倉健司弁護士は、本紙に内部告発した職員は「同法によって保護される」と指摘する。

 瑞慶覧市長は4日、取材に対し、組織が正常に運営されていないため外部に実情を訴える行為について「(内部告発以外に)いろいろ方法があるだろう」と答え、内部告発については改めて「セキュリティーの問題だ」とした。3日付本紙報道についても、改めて「報道が間違っている」と回答。その上で時間記録の書き換えがあったことは認め、「改ざんではない。意図的に換えていない」と再度強調した。

 4日付本紙紙面で幹部からの書き換え指示を目の当たりにした職員の証言を報じたことについては「詳しいことは言えない」としてコメントしなかった。島尻消防も同様に本紙報道が「間違っている」との認識を示したが、根拠は示さなかった。

(安里洋輔、嘉数陽)


■管理者南城市長 発言要旨

 新聞に原本(内部資料)のコピーが出ている。情報漏えいの恐れがあり、それが(時間記録の改ざんより)もっと問題だ。正副管理者から、セキュリティーの問題だからきっちり調査するようにと(島尻消防に)指示を出した。こういう問題が起こってはいけない。個人情報が入っていて非常に問題だ。

 現場職員の間に溝はなかったと思う。一生懸命やっている。ただこういったことがマスコミに出ていることは、何かがあったんだろうと思う。屋比久学消防長も、正副管理者会議の中で反省の弁を述べていた。人間関係の亀裂みたいなものはないと思う。

 一連の報道は元々、島尻消防の男性職員への処分を県人事委員会が取り消した案件から始まっている。その中で当事者や職員の中での、島尻消防に対する不満とかはあったのかもしれない。