北海道出身の女性が沖縄の島でパーラーを開いたワケ


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 【浜比嘉島=うるま】笑顔が集まる場所を浜比嘉に―。2016年にうるま市地域おこし協力隊として浜比嘉島に赴任し、10月に任期を終えた北海道出身の向井裕美さん(36)が11月29日、同島の比嘉漁港前に「島パーラー浜比嘉店」を開業した。島のPRに全力投球してきた3年間。「頑張れたのは地域の皆さんのおかげ。地域をさらに元気にすることで恩返ししたい」と話す。この島に腰を据え、島民と二人三脚で魅力を発信していく。

浜比嘉島で作られたマースお守りを手に島の魅力をPRする向井裕美さん=11月27日、うるま市浜比嘉島の島パーラー浜比嘉店

 北海道で生まれ育った向井さんはうるま市に残る自然や景観に魅せられ、協力隊になる前にも同市の津堅島で3年間暮らした。協力隊の任期中は島の知名度向上や来島者の増加だけでなく、島民の満足度向上にも目を向け、さまざまな仕掛けを提案した。

 その中で「観光客は増えてきたが、お土産や地域の食べ物が気軽に買える店がない」と感じていた向井さん。観光客に喜ばれ、なおかつ地域の人々が集い、笑いにあふれる場所をつくりたいと、パーラーの開業を思いついた。

 海辺を望む小さな店内には、島内で取れた塩やサンゴを使い、島民と一緒に作ったお守りや、オリジナルキーホルダーなどの土産品が並ぶ。フードもポークたまごおにぎりのほか、地元産のモズクをふんだんに使ったチャウダーやスープをそろえ“浜比嘉ならでは”を提供する。

 パーラーのお手伝いをする比嘉区の玉城ハツ子さん(80)は「向井さんが来て島が明るくなった。(店を通して)いろんな人に会えるのが楽しみ」と笑顔を見せた。料理上手の前宮セツ子さん(74)=浜区=も「島おこしのために一生懸命で、みんな感謝している。今後、島の特産を使ったメニューも増やせていけたらうれしい」と語った。

 向井さんは「どうしたら島の人々にも観光客にも喜んでもらえるのか。考える時間が楽しい。島のおばあたちの知恵と愛情をたくさんもらい、一緒に良いものをつくっていきたい」と意気込んだ。

(当銘千絵)