【金武】落下した米軍照明弾が民間地から見つかった金武町伊芸区では、最初の発見から一夜明けた6日朝も「パラパラ」「ダダダ」という米軍演習の射撃音が響いた。区民で作る行政委員会のメンバーらが一帯を捜索すると、2発の照明弾を2時間以内に発見した。「住宅地のそばで訓練をしないで」「一歩間違えれば人的被害が起きる」。米軍の射撃訓練と隣り合わせの危険性を改めて実感した住民らは、切実に訴えた。
小雨が降り時折強い風が吹く中、捜索は午前9時半ごろから始まった。「あった、あったぞ」。30分後には木の上に引っ掛かった状態の照明弾2発目を見つけた。見つかった場所は沖縄自動車道まで約15メートルの距離。前日には複数の照明弾が発射され、民間地に落下したのではという住民の目撃情報もあった。見つかった計3発のうち、2発は自動車道を横切って落下した可能性が高い。
3発目は11時ごろ、美徳川沿いの道路のフェンスに引っ掛かる形で見つかった。落下地点とみられるアスファルトの舗装面には傷があった。農作業小屋まで10メートルほどで、6日も人が出入りしていた。一帯は田んぼが広がり、伊芸区は毎年2月にコスモス祭りを開いている。7日には祭りに向け種をまこうとしていた。
6日に見つかった2発も最初と同様、金属製の弾筒にパラシュートが付き、弾筒の一部は焦げたように黒ずんでいた。通報を受け町や県警、沖縄防衛局の職員らも現場を確認し写真を撮るなどして記録した後、防衛局職員らが照明弾を回収した。
「伊芸名物の祭りを開くこんな場所に、照明弾が落ちるとは」。行政委員会副議長の喜瀬均さん(66)は衝撃を隠せなかった。「近くには通学路や学童(放課後児童クラブ)が入った公民館がある。一番怖いのは子どもたちが被害に遭うことだ。弾はいつ飛んでくるか分からず、(被害は)紙一重だ」と懸念した。山里均区長(69)は「祭りの最中に(照明弾が)落ちるようなことがあったら大パニックになる」と眉を寄せた。
10歳と7歳の子がいる島袋麻美さん(36)は「3発目の川沿いは子どももよく通る場所。住宅に落ちていた可能性もあり、怖さを再認識した。普段、演習の音に慣れ過ぎているが、子どもを守るためにも危機意識を持たないといけない。生活圏近くでは演習をしないでほしい」と訴えた。