保育園周辺のオスプレイ低周波音「物的・心理的影響がある」 緑ヶ丘保育園周辺で測定 国参照値超え


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 【宜野湾】沖縄県宜野湾市野嵩にある緑ヶ丘保育園付近の上空を飛行した米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの低周波音が、物的・心理的影響があるとされる国の参照値を一部で超えていたことが9日までに分かった。琉球大学の渡嘉敷健准教授(環境・音響工学)の測定で明らかになった。緑ヶ丘保育園上空を飛ぶオスプレイの低周波音の実態が明らかになったのは初めて。

 低周波音は5日午後0時14分ごろ、南から北向けに飛行したオスプレイを渡嘉敷准教授が目視しながら測定。音の高低(周波数)を表すヘルツの12・5~80ヘルツ間で、音の強さを表すデシベルを記録した。

 扉や窓のがたつきなどの物的影響は、20~25ヘルツ帯で環境省が定めた参照値を上回った。参照値を9・7~12・7デシベル超え、89・7~95・7デシベルに上った。圧迫や震動による不快感など人に対する心理的影響は、25ヘルツと40~80ヘルツの領域で沖縄防衛局が定めた参照値を超えた。63ヘルツで最大101・9デシベルとなり、参照値から54・9デシベル増と約2倍だった。

 防衛局は物的影響について環境省の参照値を参考にしており、心理的影響の参照値は環境省より高い独自の値を用いている。国は低周波音について望ましい環境基準を定めていない。一方、県は2016、17の両年度に物的影響を調査している。

 渡嘉敷准教授は、園児への低周波音の影響を懸念しつつ「広い範囲で心理的影響も住民から聞き取り、アンケート調査などをする必要がある」と指摘した。